コラム

ポストゲノム時代の電顕家

鮫島 正純
弘前大学農学生命科学部

これは、日本電子顕微鏡学会和文誌「顕微鏡」編集後記の私の文章です。

 『.....したがって(電子顕微鏡のような)高価な研究機器は、いわゆる外部資金でしか整備できない状態です。一方で医学生物系の電子顕微鏡施設と“電子顕微鏡家”の激減に関してはさらに別の問題があり、今や“電子顕微鏡家”が絶滅危惧種である点に関して本号の巻頭言に金関 悳先生にご執筆いただきました。読者の方にはぜひ目を通していただきたい記事です。現在電子顕微鏡データ作成を他人頼みになさっている医学生物系研究者の方々は、数年以内に起こる状況をどの程度認識されているのかはなはだ疑問です。もっとも、研究の進展上必要になったからといって、すぐにそろえるには電子顕微鏡はあまりに高価であり技術も必要なため、他人だよりにならざるを得ないことも事実です。しかしこのままでは、「いつまでもあると思うな親と金」どころか「あと数年あると思うな電顕家」になってしまいます。何らかの組織的な動きが必要なのではないでしょうか。』

  ここで紹介している巻頭言「ポストゲノムと細胞の古典的電子顕微鏡観察」で金関先生は、私は寡聞にして知らなかったのですが、G. Griffin博士の著作にある「今ほど訓練された電顕家の必要とされている時はない」という文章を紹介されています。さらに、電顕的proteomicsが現在まさに求められていることを端的に述べられています。ぜひご一読ください。この金関先生の巻頭言と私の編集後記は、電子顕微鏡(現顕微鏡)Vol.38,No.2 (2003)に掲載されています。この時期には、大隅正子現理事長を中心にIIRISの設立準備が進行していました。私は「あと数年あると思うな電顕家」と単に嘆くだけでしたが、電顕家の進むべき道をそれぞれに指し示されている両先生のご見識にあらためて敬意を表したいと思います。
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