お知らせ
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〜 認定NPO法人化記念 第5回 可視化技術ワークショップのご報告 〜

主催: 認定特定非営利活動法人 綜合画像研究支援(IIRS)
共催: 日本女子大学オープンリサーチセンター(ORC)
後援: 社団法人 日本顕微鏡学会(JSM)

バイオイメージングテクノロジーを用いた
微生物多様性へのアプローチ

去る2008年11月8日(土)に綜合画像研究支援と日本女子大学オープンリサーチセンター(ORC)(共催)、日本顕微鏡学会(JSM)(後援)により、ワークショップ『バイオイメージングテクノロジーを用いた微生物多様性へのアプローチ』を開催いたしましたのでご報告致します。

(今回のワークショップは、予定終了時間を大幅に超過してしまったことを、皆様にお詫び申し上げます。)

日  時: 2008年11月8日(土)
ワークショップ/13:00〜18:50
アカデミックサロン/19:00〜20:30
会  場: 日本女子大学
ワークショップ/新泉山館国際交流センター大会議室
アカデミックサロン/桜楓2号館

プログラム


13:00〜13:10 開会の挨拶 綜合画像研究支援 理事長  大隅 正子
  座長 帝京大学 名誉教授 山口 英世
    帝京大学医真菌センター 准教授 西山 彌生
 
13:10〜13:30 プロローグ 帝京大学 名誉教授 山口 英世
13:30〜14:10 放線菌における形態の多様性と系統分類 <PDF 206KB>
  独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター 専任研究員 工藤 卓二
14:10〜14:50 高等菌類の無性生殖器官の多様性と系統・分類に対するその意義 <PDF 180KB>
  独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター 専任研究員 岡田 元
14:50〜15:30 病原細菌、マイコプラズマの滑走運動 ― 構造とメカニズム ― <PDF 413KB>
  大阪市立大学大学院理学研究科 教授 宮田 真人
15:30〜15:50 休  憩
 
15:50〜16:30 溶血毒素ストプトリジンOの溶血機構の解析
― タンパク毒素の生体膜上での会合とドメイン3の膜貫入の可視化 ―
<PDF 456KB>
  北里大学薬学部 非常勤講師 関矢 加智子
16:30〜17:10 深海微生物の多様性から生物進化を考える <PDF 368KB>
  東京医科大学神経生理学 兼任講師 小塚 芳道
17:10〜17:50 培養した細菌と自然界の細菌 <PDF 149KB>
  九州大学 名誉教授 天児 和暢
17:50〜18:00 閉会の挨拶 アカデミックサロンへの案内
  日本女子大学 教授 今市 涼子
18:00〜20:00 アカデミックサロン 桜楓2号館(卒業生の団体の会館です)
(敬称略)

第5回可視化技術ワークショップ
『バイオイメージングテクノロジーを用いて微生物多様性へのアプローチ』開催の挨拶

大隅 正子(認定NPO法人IIRS 理事長)

皆様、本日はご参加下さいまして、誠に有難うございます。私は只今ご紹介を頂きました、認定NPO法人・綜合画像研究支援(略してIIRSと申します)の理事長を務めております大隅でございます。

先生方のご講演に先立ちまして、すでにご存知の方が多いとは存じますが、当法人の活動について、簡単にご紹介させて頂きます。

今年の6月に、当法人の紹介パンフレットを、英語の説明を加えましたバージョンに改定致しました。このパンフレットを受付に用意してございますので、お持ち帰り下さいませ。

このパンフレットには、最初に、IIRSの設立の趣旨が述べてありますが、日本のNPO法人としましては、17の活動のジャンルが分類されてございますが、その中の『科学技術の振興を図る』という分野での活動が、IIRSの設立の目的といえます。NPO法人の数は現在、全国に35,000以上ありますが、その中の僅かに89団体が、税務の優遇措置が受けられる『認定NPO法人』として、国税庁から認可を受けております。

『科学技術の振興を図る』分野のNPOは、現在1,604団体ありまして、その中で当法人は、第1号の認定NPO法人として、昨年3月1日に国税庁から認可を受けました。 そして、この分野の認定NPO は今年の10月現在で、まだ3団体しかなく、その意味でも、私どもの団体は大変希少価値があると自負しております。

昨年のワークショップでのご挨拶の折に、『認定NPO法人』について、ご説明しましたので、本日はそれを省かせて頂きますが、その内容がIIRSのホームページで公開しておりますので、どうぞそれをご覧下さいませ。

次に、IIRSの活動ですが、大きく分けて、3つあります。それらは、可視化技術を主体とする、研究支援、人材育成、そして普及・啓発です。そして、昨年度から、人材育成事業のひとつとして、研究者の研究環境の格差を無くすための調査研究を開始しました。さらに今年度から、国際協力もこの分野の活動の一部として加わりました。研究支援事業としましては、大学、研究所、企業における研究者の支援活動を実施しております。

人材育成事業の一環としましては、本日開催しております可視化技術ワークショップを初年度から開催し、有難いことに多くの方々のご支持を得て、この事業が恒例となり、本年で5回目となりました。その内容をこのスライドでご紹介致します。

この程、第1回から3回までの可視化技術ワークショップの記録を『可視化技術の最前線』と題しまして、発刊致しました。IIRSの活動に相応しい内容と装丁であると、自負しております。受付に置いてございますので、ぜひこの機会にお目通し下さいませ。

人材育成・普及啓発事業としましては、IIRSセミナーとサイエンスカフェを、当会の総会の日に開催しております。

さて、研究環境の改善のための調査研究として、昨年度新技術振興渡辺記念会から補助金を頂いて、『ライフサイエンスにおける可視化技術の実態と将来展望』と題する活動を展開しました。そして、今年度は『ライフサイエンス領域における微細形態計測装置共同利用のネットワークの創設に向けて』として、アンケートや、研究機関への訪問調査、そして、顕微鏡学会の折にワークショップ、秋の植物学会においてシンポジウムをそれぞれ開催致しました。シンポジウム当日の配布資料を受付に置きましたので、詳細の説明を省かせて頂きます。

最初に、IIRSの活動についてのご紹介を、長々とさせて頂きました。

今年のワークショップは、これまでと趣を変えまして、微生物をターゲットにしまして、山口先生と西山先生にご企画を頂いて、開催することができました。

九州から天児先生、大阪から宮田先生も駆けつけて下さり、在京の先生方を4人もお迎えして、盛り沢山のワークショップとなり、大変嬉しく存じ、厚く感謝しておりますことを申し上げて、開会に当たりましての、ご挨拶とさせて頂きます。

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第5回可視化技術ワークショップに参加して」という題材にて講演者・参加者の方々に感想を頂きました (順不同)

形態学の楽しさと奥深さを感じさせてくれたワークショップ
直江 史郎 教授(東邦大学名誉教授・桐蔭横浜大学先端医用工学センター教授)

現在、東京で“光の画家”と云われるフェルメール展が催されている。そのフェルメールはオランダのデフルトで1632年10月24日に生まれた。奇遇というか、初めて様々なものを顕微鏡で観察したレーウェンフックもデフルトで同じ日に生まれている。しかも、二人の名がデフルト新教会の洗礼名簿の同じページに記載されていることを最近ある先生から教えて頂いた。デフルトというどんよりした天気の日が多い地方で、“光”をまったく別の方向から受け止めていたことに不思議な気がする。レーウェンフック生誕以来、現在に至る366年の間に顕微鏡は驚異的な発展を見せていることは私も病理形態学の世界に身をおいただけに多少知っているつもりだった。

私は、病理診断のために電子顕微鏡を利用したものの、深く入り込むことは無かった。幸い同僚の甘利が“胸壁漿膜細胞の病的動態”に興味を持ち、その細胞の再生や胸膜癒着機転について長年こつこつと仕事を続けているのを傍らで応援していたに過ぎない。従って、電顕を中心にした先生方の仕事を全く“覗き見的な気持ち”で5回のうち4回のワークショップに参加させて頂いてきた。これには月田承一郎先生の“小さな小さなクローデインの発見物語”に感激したことが基にある。毎回、各研究者の努力と苦労がしのばれる話を聞くにつれ、様々な機器の改良・発達に対応し、分子生物学、免疫学的手法の発展に加え遺伝子技術など幅広い観点からの研究方法の変遷を先取りし研究を進めるには、研究費獲得を含めどれほどの努力が払われているのだろうか?

物理学や化学に生物学が融合してもたらされた分子生物学や遺伝子工学などの現在の学問も、今後は原子生物学や素粒子生物学さらにはクオーク生物学などへの進化も充分に予想される。これらの来るべき新しい学問は、これまで以上に確証を明示することが要求されるであろう。それには、このワークショップのような可視化技術とのコラボレートは不可欠であろうし、もしかするとこれまで以上に必要となるかもしれない。

研究方法が複雑化して行くに従い、しばしば研究者に有り勝ちな、自分の世界に陶酔した研究や発表の仕方も、今後は聴衆に一目で分かるように、聞いていても楽しく(?)理解出来るようにしなければならないことが一層求められるのは時代の流れであろう。

ウイルスという概念や電子顕微鏡が無い時代に生き、猛烈な努力にも拘らずその殆どが覆され悲劇的な結果に終わった野口英世が、この可視化技術ワークショップに参加していたらどんな思いであったろうかと考えたりしながら演者の話を聞いていた。

最後に、医学系では電子顕微鏡を利用する研究者の減少が残念だが、技術の習得が困難かつ時間がかかるのがネックであろう。限界もあろうが、技術のより簡略化が今後の課題の一つと云えよう。また、子供達に何とか形態学の面白さを植えつけることが出来ないかと前から感じている。これは何も電顕のみの問題ではないが。様々な角度から興味を持たせることが出来れば素晴らしい。一端は小生もお手伝いできるかもしれない。

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西山 彌生 准教授(帝京大学医真菌研究センター)

去る11月8日、穏やかな土曜日の午後にIIRS主催による「第5回可視化技術ワークショップ」が日本女子大学新泉山館国際交流センターを会場に開催された。私は、IIRS理事である山口英世先生(帝京大学名誉教授)とともに、今回のワークショップの企画・座長を務めさせていただいた。元々、私はIIRSの研究協力者になっていたが、ワークショップが開催されるこの時期、大学の入試業務と重なり、これまで一度も参加できなかった。今回、初めて本会に参加した感想を述べてみたい。

今春、大隅正子理事長より、山口先生に微生物をテーマにしたワークショップを企画してほしいとの要請があり、私はそのお手伝いをすることになった。4月初めに、思いつくままに数名の先生を演者候補者として挙げてみたものの、この時点では統一テーマは見えてこなかった。その後、対象を「細菌」と「真菌」とに絞ることにして、「演者候補者」の研究室を山口先生自らが訪問されて、ご講演の内諾を取り付けて来られた。演者のご専門は、系統分類学、分子生物学、超微形態学、あるいは、実験科学ではなし得ない生物進化に触れる深海微生物学、さらに、これまでの微生物学の概念を覆すような自然界における微生物の真の姿を捉えてみようというものまで、まさに、多岐にわたっており、そこから今回のタイトル「バイオイメージングテクノロジーを用いた微生物多様性へのアプローチ」が定まった。

当日の会場は程良い広さで、座長の席から場内を見渡すと、老若男女、様々な方が集っておられた。とくに、ご退職された懐かしい先生のお顔も見えて、とてもうれしかった。通常の学会ではあり得ないような多彩な内容のプログラムであったが、各演者のご発表はとても分かりやすく、また、講演後の質疑応答も活発に行われた。講演会終了後、会場を桜楓会館に移してのアカデミックサロンでは、終始和やかな雰囲気のうちに、桜楓会心づくしの美味しいお料理と、お酒を満喫した。その一方、若い方々がもっと大勢参加できる工夫が必要ではないかという課題も残された。専門領域を越えて、演者と聴衆者が親しく意見を取り交わすことができるこの様なワークショップを開催しえるIIRSの存在意義を改めて痛感した1日であった。

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岡田 元 専任研究員((独)理化学研究所 バイオリソースセンター 微生物材料開発室)

山口英世先生から職場の辨野義己室長を通じて第5回可視化技術ワークショップのお話しがあった際に、可視化・微生物・多様性・分類・系統などのキーワードをいただき、平易にカビの分類に関して紹介して欲しいと依頼されたと記憶しています。しかし、可視化といっても、自分は麹カビなどの糸状菌類を光学顕微鏡と走査電顕で観察している程度なので、何をどのように分かりやすく紹介すれば良いのか悩みました。最終的には、不完全菌・子嚢菌・担子菌のごく一部について、形態の多様性と分類・系統に関する基本的なことを中心に簡単に紹介することとしました。

本ワークショップは、山口先生のプロローグに続き、放線菌と菌類の分類の話から実質的に始まりましたが、私は準備不足のため大失敗の発表となってしまい、会の前半から大変落ち込んでしまいました。その場にいるのも申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、幸いなことに、私の次の演者である宮田真人先生の発表がすばらしかったので、会場の雰囲気が盛り上がり、先生にはとても感謝しております。まさに、高度な可視化技術を駆使した最先端でダイナミックな講演内容でした。その後の講演においては、諸先生方の話題が透過電顕を共通項とした研究成果や、ご自分の研究史・アイディア・今後の抱負などの紹介に移り、研究人生を反映した重みのある内容で会を締めくくっていただいたように感じました。いずれにせよ、ほとんどの先生方が研究中心のお話しでしたので、自分の発表の妥当性についてさらに疑問を感じてしまったのが正直な感想です。最近の私は雑誌編集や菌株保存業務のために研究から遠のいてしまったので、皆様のパワーに完全に圧倒されてしまいました。しかし、来年は体制を立て直し、少しでも再起したいと思います。そして、汚名返上できるように努力します。

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関矢 加智子 非常勤講師(北里大学薬学部)

第5回可視化技術ワークショップの『バイオイメージングテクノロジーを用いた微生物多様性へのアプローチ』で、演者の一人として、お話させて頂きました。

今回のワークショップでの工藤先生、岡田先生の系統分類のお話では、放線菌や高等菌類の16SrRNA遺伝子配列に基づいた分類に至までの分類の進展と共に、お示しいただいた沢山の美しい形態写真から、改めて、形態を正確に捉える技術と知識に裏付けられた形態の重要性を思いました。

宮田先生のマイコプラズマの滑走運動は、運動に関わる4つのタンパク質の役割、ナノスケールの構造と機能の関係のお話に、細菌学会でお聞きした内容でしたが、改めてその明解な解析に、深く感銘いたしました。

また、小塚先生の深海微生物と天児先生の培養しない状態の細菌の形態のお話は、超微形態学を極められた長年のご経験に基づいた両先生ならではのお話でした。自然界に生きる微生物が、それぞれの置かれた環境の中で、“生”を維持するために、あるいは、形態を変化させ、また進化の形で、どのように賢く存在し続けてきたか、奥深い自然界の神秘性ゆえに、尽きない科学者の興味と探究心を沸き立たせられるようなお話で、また、それを実践されておられる両先生に深く感動いたしました。

いずれのお話も普段の学会などではお聞き出来ない興味深い演題と内容でした。

私は、細菌が産生します孔形成毒素の代表のストレプトリジンOによって生体(膜)が傷害される機構(溶血機構)について話させていただきました。ナノの世界に秘められた形態学ならではの解析への期待に答えるべく、長年の課題に取り組みました。そして、味わった解明の困難さ、確かな電顕像が示すその形態には、必ず解かれるべき真実があることを大勢の方々のご協力の元に、電子分光結像法と動きを制限した変異体毒素を用いた実験から、解明することができ、その内容を話させていただきました。このような研究領域で超微形態学が重要な役割を担っておりますことを、ご紹介できたかと思っております。講演後、座長の山口英世先生から課題をやり遂げたことへのお褒めのお言葉を頂き、大変に嬉しく心に滲みました。

そして、遅くからの私の超微形態学への挑戦を、常に温かく励まして下さり、このような講演の機会をお与え下さいました大隅正子先生、西山彌生先生に深く感謝いたします。

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学会とは一味違うワークショップ
小塚 芳道兼任講師(東京医科大学神経生理学講座)

生物学研究の流れの変化は1950年代の終りに共立出版社から雑誌“蛋白質-核酸-酵素“が臨月刊で発行されたころから始まった。この雑誌が発刊を契機に従来の生物学は生化学、特に核酸、蛋白質の研究に大きく方向転換をしていった。それまで生理学講座と言っていた研究室は生化学、分子生物学に講座名を変更し、これからの生物学は核酸、蛋白質の研究が生命現象の解析の主流となり、従来の分類学、系統学、形態学、生態学等は古い学問となるだろうと考えるようになった結果、従来の分類、形態、生理学研究分野に進む研究者が減り始めた。最初に致命的な打撃を受けたのは分類学だった、学生数の減少と標本の保存に必要な予算は、分子生物学に必要な機器の整備に回された。そんな時期に新しい研究手段として導入された電子顕微鏡は一時的に研究者が増加したかに見えたが、それもしだいに減り始め、1980年の中頃から一部の形態学者の中から、次世代の人材養成を行わないと、日本の形態学は存続できない事態が生ずるとの危機感をつのらせた。事実、心配していたことは現実となった、そんな折IIRSが設立され、形態と機能を結びつける可視化にかかわる研究支援、技術開発、人材の養成事業に着手したのは、大きな期待が持てると安堵している。

5回を迎えた可視化技術ワークショップで微生物を対象とした形態、それも深海から採集した未同定の生物の話をどのように表現したら良いのか、引き受けたもののワークショップが近くにつれて、微生物学が専門の先生方に混じって話すことに不安が募った。何とか与えられたテーマについての話をまとめたが、発表を終わってからも正直なところ話の内容を理解していただけたのか不安が残っている。自由な質問が出来る雰囲気は、専門分野の学会と異なり、本当に形態学を専門とする研究者の集まりを感じた事、異なる専門分野の知識を得ることが出来たのは、大きな収穫だった。またアカデミックサロンでは主催者、参加者と話す機会に恵まれ、思わぬ知人に会い、専門的な話だけでなく、久し振りに旧交を温める機会にもなった。

形態学を専門とする人材養成は、他の研究分野より長時間が必要と思われるが、IIRSの行うワークショップは、常に新しい知見を提供する場として、大きな成果をあげる可能性が秘められているものと、将来の発展を期待したい。

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中尾 憙子(元日本女子大学桜楓会理事)

第5回、認定NPO法人綜合画像研究支援理事長 大隅正子先生のご挨拶にある通り、 「生命科学領域における可視化科学を活用した研究の推進、研究支援、研究者、技術者の人材育成、および啓発」、これを見事に運営されている組織団体であると心より尊敬し、応援しています。

私は日本女子大学家政学部の中にあった生物学を学んで、都立高校で理科(物理、化学、生物、地学)を数年前まで生徒と一緒に学び、教えてきた者です。

国公立出身の同じ学校理科の先生の知識の豊富さに脱帽し、私に教わる生徒が遅れを取らないため、なんのこれしき、学び始めました。と言っても在学中、「微生物学」を学ばせていただいた大槻虎男先生(お茶の水大教授)のご指導の下で、卒論が「空中微生物によるコンニャクマンナンの分解」でした。その時(1959年)も日本人の研究が少ない参考文献収集の為、大槻虎男先生のご名刺を手に、北里大学研究室の裸電球の下で手が凍えて、万年筆が上手く書けなかった事、思い出します。前後して慈恵医大にも伺いました。全て、恩師のお導き、と怖いもの知らず、物怖じしないハートを育てていただいたのが日本女子大でした。

たった一人でお茶大の出来たて「食物科学研究所」のフロアーを使わせていただけたのは大槻先生が所長を兼任されていらしたからです。先生と二人で顕微鏡写真を撮りながら、 コンニャクマンナンを使った「風船爆弾」のお話伺いました。

卒業後、家政学部で学んだ一般教養が物理、化学、地学という専門分野外を伝えるのに大変役立ちました。「こんな事知らないの?こんな事分らないの?」という発想は、私にありません。相手に今伝えようとして事が相手に確実に伝わり、これから知ろうとする事へのワクワクするような興味を共有したいと願うのみです。

第1回から5回のワークショップ参加させていただきました。それ以前、大隅正子先生が日本女子大理学部長、教授時になさっていらした各種ご講演、アカデミックサロン(於、椿山荘)にも参加していました。

認定NPO法人綜合画像研究支援、が日本だけでなく世界の科学技術発展に寄与される事願っています。

私は学問以前に人として生きていく常識が次の世代に引き継がれ、妥協しない真実を求める心が育っていくこのようなワークショップの大隅正子先生を応援します。

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鮫島 正純 教授(弘前大学農学生命科学部)

菌類を中心にした幅広い分野にわたるワークショップでしたので、聴講しながら思い浮かんだことをつづってみます。

私が所属している学部には植物病原性子のう菌類の生態・分類の研究室があります。野外から採取した菌を培養して、子のうの形成過程や形態を調べ、さら遺伝子マーカーの結果と丹念に比較するという実に地味な研究を思い出しながら、前半の工藤先生と岡田先生のお話を伺っておりました。私自身は細胞性粘菌の細胞骨格を研究対象にしておりますので、マイコプラズマの運動のお話を宮田先生から直接聞きすることができ、感激でした。いわばプロトタイプ的な原核生物のアクチンと微小管が、それぞれ真核生物おける微小管とアクチン的な機能を果たしている、すなわち機能が原核生物と真核生物とで逆転していることを常々不思議に感じておりました。それらとは全く異なる分子に依存しているらしいマイコプラズマの運動の仕組みの解明は、細胞骨格の進化の理解にも新たな知見をもたらすものと信じています。

後半のストレプトリジンOの機能ドメイン構造解析は、あきらめない研究姿勢とともに、分子レベルの構造解析の大変さを再認識いたしました。小塚先生の深海微生物のお話は全く初めてでしたので、興味津々でした。微量のDNAがあれば遺伝子解析が可能な時代ですので、この分野からも進化上重要な知見が得られることと期待しています。最後の、天児先生の培養したものと自然界との違いの話も、私にとっては興味深いものでした。細胞性粘菌も土壌微生物であり、先生のサンプルにも粘菌アメーバがいたはずです。学生実験として土壌からの分離を毎年実施していますが、この場合、えさになる細菌を無栄養寒天培地上にたっぷり与えておくと、粘菌が増えてきます。しかし、実際に土の中で、多分、ポツリポツリと点在して這い回っている粘菌アメーバを観察した人はまだいません。

このようにアカデミックな話だったにも関わらず、情緒的な思いを抱きながら聴講できたため、予定をかなりオーバーしたにもかかわらず、“楽しめた”ワークショップでした。

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鮮やかな画像の威力:-マイコプラズマの滑走運動-構造とメカニズム-
渡邊 美智子(東京慈恵会医科大学 DNA医学研究所分子細胞生物学研究部)

大阪市立大学の大学院理学系研究科で研究をすすめる宮田真人先生の「病原細菌、マイコプラズマの滑走運動 - 構造とメカニズム-」を内容の重さはしっかり感じながら、しかし、大変楽しく学ばせていただきました。先生のキャラクターも大いに影響なさっているとは存じますが、原核生物であるマイコプラズマがべん毛も、線毛も、モータータンパク質も持たないのに、ガラス表面を滑走する運動メカニズム=高度な内容をいとも簡単に、聴衆が理解しやすいように、かつレベルを落とさずに教えていただきました。

これまでヒトからの培養試料を数多く対象としてきたものにとって、マイコプラズマは研究進行の邪魔をするのみで、楽しいと言う興味対象とはなりませんでした。

しかし、マイコプラズマ滑走運動に関係する構造タンパクの解明と遺伝子解析、ノックダウン、抗構造タンパク抗体の作製と作用機序、超微細構造解析、コンピュータ画像化技術など、さまざまな最新テクノロジーを駆使して示されたその構造と生体運動メカニズムは、少し前の生物学の概念では知ることも出来なかった事実を、画像と共に鮮やかにアピールし、これまでマイコプラズマに対する興味が乏しかった研究者にも、大いに影響を及ぼしました。宮田先生のご研究に敬意を表しますと共に、今回のワークショップを企画頂いた大隅先生初め、認定特定非営利活動法人「綜合画像研究支援」の皆様に深く感謝申し上げます。

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江原 友子(東京医科大学 微生物学講座)

微生物分野に絞り込んで企画された今回のワークショップは、微生物の多様な世界をさまざまな角度から捉えた内容で、大変に面白く聴かせていただきました。

ワークショップに参加して、遺伝子解析による系統分類から解き明かされる微生物の多様性。そして、マイコプラズマがガラス面をみごとに滑走する迫力ある姿や共生説を物語る微生物が深海に現存する等々、興味深い内容が盛り沢山で新しい情報に刺激を受けました。

原始地球に誕生した生命体が絶えることなく進化し、長い時間を経る過程で形態や性状を多様に変化させ、環境変化に適応しながら生息し続けることで、現地球には無限に近い広がりをもつ多様な微生物の世界が育まれていることに改めて感動する思いでした。

医学部における微生物学はヒトの病気と深く関わる病原微生物が主体となり、扱うものは極めて限られています。それらの性状の分析や電子顕微鏡観察などによる構造解析を試みる中で、臨床材料に潜む微生物の姿と研究室で準じて行う実験下での姿の違いを常に感じておりました。今回のワークショップに参加して、さらに実験で取り扱う微生物の難しさ、本来の自然な姿を捉え知る難しさを実感する思いです。

ワークショップ参加は3回目でしたが、これからの企画内容を楽しみにしています。

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写真集

日本女子大学正門

ワークショップ会場
日本女子大学新泉山館国際交流センター

開会の挨拶をする大隅正子理事長

プロローグ・後半座長をされた
帝京大学名誉教授 山口 英世先生

前半座長をされた
帝京大学医真菌センター 西山 彌生先生

独立行政法人理化学研究所
バイオリソースセンター 工藤 卓二先生

独立行政法人理化学研究所
バイオリソースセンター 岡田 元先生

大阪市立大学大学院理学研究科
胸にマイコプラズマをつけた宮田 真人先生

北里大学薬学部
関矢 加智子先生

東京医科大学神経生理学
小塚 芳道先生

九州大学
天児 和暢先生

聞き入る参加者

演者と座長の方々

質問する参加者

閉会の挨拶をする日本女子大学 今市 涼子先生

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