お知らせ
<< お知らせ一覧へ戻る

第35回日本分子生物学会フォーラムのご報告

去る2012年12月11日に第35回日本分子生物学会において、演者に和田正三先生(九州大学大学院理学研究院生物科学部門特任教授)をお迎えし、綜合画像研究支援が企画致しました、フォーラム『葉緑体光定位運動における葉緑体の動きとそのメカニズム』を開催しましたので、以下のように報告します。

日  時 平成24年12月11日(火) 18:10〜19:15
場  所 第12会場 (福岡国際会議場2F多目的ホール204)
オーガナイザー 大隅正子(日本女子大学名誉教授/認定NPO法人綜合画像研究支援 理事長)
山本正幸(公益財団法人かずさDNA研究所所長)
演  者 和田正三先生 九州大学大学院理学研究院生物科学部門特任教授

講演に先立ち、大隅理事長よりIIRSの2012年度の事業の一環として開催するこのフォーラムの趣旨につきまして、簡単な説明がなされました。次いで、昨年IIRSが行いました海外調査研究のなかで、臼倉・宮澤の両会員がオランダ・ライデンの電子ナノスコピー(NeCEN)を訪問して、この国では、日本の可視化の共同利用組織とは異なった、Consortium PartnersやFinancial Partnersの制度が組織されていることを紹介しました。

今回は、フォーラムがポスターセッションと同時に開催されましたので、予想されました通りに、参加者は30名ぐらいのこぢんまりした会合になりました。しかしその反面、積極的に講演を聞きたい方々が参加されたようでして、総合討論では講演に対して大勢の方がいくつもの質問をされ、とても盛会でした。例えば、 1)光定位運動時に見られるアクチン繊維は、リステリア菌が宿主細胞内を運動する時にできる”コメットテイル”と同じような構造なのでしょうか? 2)KACのモータードメインを微小管のそれと置き換えたら、アクチンではなく、微小管でも葉緑体を動かせるのでしょうか? 3)光定位運動時にいくつかのアクチン繊維束が連なるように形成されていましたが、それらが結合する仕組みはあるのでしょうか?など、専門的な質問が多く出され、質疑応答が活発で、予定時間を20分も延長しても終わりませんでした。先生の映画は世界の研究者仲間ではとても評判でして、BBCで放送されたこともおありでしたと伺いましたが、それは本当に素晴らしい画像でした。そこで、その手法をお伺いしましたので、ご講演の要旨の最後にそれを掲載しました。また、近いうちに、トピックスで詳しくご紹介頂くことをお願いしました。ご期待下さいませ。

プログラム

18:10〜18:15 趣旨説明
  大隅正子(認定NPO法人綜合画像研究支援理事長)
18:15〜19:00 葉緑体光定位運動における葉緑体の動きとそのメカニズム
※タイトル部分をクリックしていただくとPDFデータにて論文がご覧いただけます。
  和田正三(九州大学大学院理学研究院生物科学部門特任教授)
19:00〜19:15 総合討論とまとめ
  山本正幸(公益財団法人かずさDNA研究所所長)
中央:演者和田正三先生
中央:演者和田正三先生

後日ある若いPDの方が、フォーラムに参加した感想ををお送り下さいましたので、以下にご紹介します。

フォーラムに参加して

私は、酵母細胞や動物培養細胞を用いて、細胞骨格の構造と機能に関する研究を行っています。そのため、このフォーラムは、自分自身の専門分野とは異なる、植物分野のご講演を伺う良い機会であると思い、参加させて頂きました。実は、参加の動機は、これだけではありませんでした。最近、今回のフォーラムとは全く関係のない場面で、葉緑体が光定位運動することを知り、そして和田研究室の論文が掲載された科学誌を、研究室で偶然見かけたこともありました。これらの出来事は、まるでこのフォーラム参加へのプロローグであったのかも知れません。

光定位運動は、手や足のない植物が、自然界の厳しさの中を生き抜いてゆくための術のひとつです。葉緑体は、弱光下では光合成をするために、光に向かって移動し(弱光反応)、強光下では光による損傷を回避するために、光から逃避します(強光反応)。ご講演では、このような葉緑体の動きが、アクチン細胞骨格依存的に起こるメカニズムを、CHUP1およびKAC1因子を中心とした分子基盤を通して説明して下さいました。先生のお話は非常に端的で、明快でした。これは恐らく、先生のご研究の道筋、そしてそこから導き出されたシナリオの美しさを反映しているためであろうと感じました。分野外の素人にも分かりやすいようにと、葉緑体の動きを身近にある出来事に例えてお話下さったり、ユーモアに溢れるスライドをお示し下さったりと、細部に渡って粋なお心遣いを感じました。とにかく、イメージングが綺麗で楽しかった!この一言に尽きます。ありがとうございました(N大学TK)。

▲ページtopへ
<< お知らせ一覧へ戻る