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第36回日本分子生物学会年会フォーラムのご報告
クライオ電子顕微鏡による生体超分子ナノマシンの機能構造の解明に向けて
High-resolution high-throughput cryoEM image analysis of macromolecular assemblies

去る12月3日に第36回日本分子生物学会において、演者に難波啓一先生(大阪大学大学院生命機能研究科 教授)をお迎えし、綜合画像研究支援が企画致しました、フォーラム『クライオ電子顕微鏡による生体超分子ナノマシンの機能構造の解明に向けて』を開催しましたので、以下のように報告します。

演  者 難波啓一(なんばけいいち)先生 大阪大学大学院生命機能研究科 教授
日  時 平成25年12月3日(火)18:10〜19:40
場  所 神戸コンベンションセンター・神戸国際会議場5階 502(第9会場)
オーガナイザー 大隅 正子(日本女子大学名誉教授/認定NPO法人綜合画像研究支援 理事長)
山本 正幸(基礎生物学研究所所長)

フォーラムの開始に先立ち、大隅理事長より最初にIIRSの事業について簡単に説明され、IIRSが行うフォーラムが、可視化技術を持つ人材育成、視ることの必要性の普及事業の一環として行われることが最初に説明されました。

そして、IIRSが今年度渡辺記念会の助成を受けて行っている調査研究「最新のイメージング術を用いたライフサイエンス研究の近未来的な潮流」で行った研究者の意向を調べたアンケートに対する回答の1つが紹介されました。「可視化技術を用いる研究におきまして、使用しにくい装置は何ですか?」の問いに対しまして、通常の透過・走査顕微鏡が回答のまっ先に上がっており、その理由を伺いますと、「自分の研究室にない」とおっしゃる方が大部分であり、中には「装置はあるが、使用法が分からない」という答えまであったことが紹介されました。IIRSでは、こうした基礎的な可視化装置を、若い研究者が何時でも気楽に扱える研究環境であって欲しいと思い、その実現に向かってこれまで努力してきましたが、未だにその完全な実現にまでは至っておりません。

しかし、高価な機器を共用する、文部科学省のナノテクノロジーネットワークの、『微細構造解析プラットフォーム』が確立しており、現在では気楽に使用を申し込んで、それらを利用できるようになってきたことが紹介されました。

最後に、生物は「機能にあった形」をもっており、「機能的変化には構造的基礎」があること、「百聞は一見に如かず」を心に止めて研究されますように願っております、との開会の挨拶の後に、難波先生のご講演が開始されました。

難波先生のお話は分かりやすくて大変よかったと思います。講演時間を延長するほどの先生の熱弁を、会場を埋めた80名を越す参加者が聞き入っておられました。

参加者の講演に対する感想に付きましては、山田IIRS会員の下の手記をお読み下さい。

プログラム

18:10〜18:15 趣旨説明
  大隅正子(認定NPO法人綜合画像研究支援)
18:15〜19:00 クライオ電子顕微鏡による生体超分子ナノマシンの機能構造の解明に向けて
  難波 啓一(大阪大学大学院生命機能研究科 プロトニックナノマシン研究室)
19:00〜19:15 総合討論とまとめ
  山本 正幸(基礎生物学研究所所長)
中央:演者和田正三先生

メモを取りながら熱心に講演に聞き入る参加者

フォーラムに参加して

私が所属する日本顕微鏡学会の微生物超微形態研究部会で、来年度に講演をお願いする予定の先生が発表なさると聞き、今回初めて日本分子生物学会に参加しました。IIRSが分子生物学会年会でフォーラムを開催していることは年度当初の活動計画で存じておりましたが、すっかり失念してしまい、初日に参加登録した際に、プログラムの中にIIRS大隅正子先生のお名前を見つけて、ハッと気がついて、辛うじてフォーラムを聴講することができました。学会初日の18時10分開始で、シンポジウム、ワークショップがおおかた終了した後に設定されたフォーラムでしたが、大勢の参加者が熱心に聴講されていました。

大阪大学の難波啓一先生のご講演は「クライオ電子顕微鏡による生体超分子ナノマシンの機能構造の解明に向けて」というタイトルでした。バクテリアのべん毛の分子構築と運動様式をクライオ電子顕微鏡による観察で蓄積されたデータを基に解明されたご研究の概要を、とても分かりやすく解説して下さいました。具体的な研究内容のご紹介とともに、難波先生の研究生活の開始と時を同じくして、電子顕微鏡の技術革新による進歩があり、それまで観察できなかった無固定無染色のサンプルを、急速凍結後に氷包埋して、生きた状態に極めて近い構造を分析することが可能になったことがわかりました。

私が特に印象に残ったのは、大腸菌のべん毛構成成分の蛋白質が、菌体内からべん毛の中心部の管状構造を通って、伸長途上の先端部まで運ばれ、見事に組み立てられて伸長するアニメーションでした。また、べん毛の回転方向を逆転するための、らせん型のプロペラべん毛線維やトルク発生機構の精緻さは、「バクテリア侮るべからず」と肝に銘じるに充分でした。

講演後も熱心な質疑応答がなされて、私にとって大変有意義なフォーラムでした。難波先生と、フォーラムを企画して下さった大隅先生に、感謝致します。

公益財団法人結核予防会結核研究所 抗酸菌部
主任研究員 山田博之
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