お知らせ
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第10回綜合画像研究支援(IIRS)セミナーのご報告
(日本顕微鏡学会後援)

去る2014年6月7日(土)の第11回総会後に、日本女子大学理学部 永田典子教授を座長に迎えて第10回綜合画像研究支援(IIRS)セミナー『電子顕微鏡のデータベース化』を開催いたしましたのでご報告いたします。

第10回IIRSセミナー : 電子顕微鏡のデータベース化

日  時 平成26年6月7日(土) 15:30〜16:50
座  長 日本女子大学理学部 細胞生物学研究室 ・ 永田典子
会  場 日本女子大学八十年館 5階 851教室
講 演 1 真野昌二 (自然科学研究機構・基礎生物学研究所)他 15:30〜16:10
「百聞は一見に如かず -植物オルガネラの画像データベースの構築とその利用-」
講 演 2 広瀬治子 (帝人株式会社 構造解析研究所) 16:10〜16:50
「バイオミメティクス知識プラットフォームと日本顕微鏡学会のデータベース化について」

第10回IIRSセミナーでの講演を終えて

真野昌二(基礎生物学研究所 多様性生物学研究室)

この度は第10回IIRSセミナーにおいて、「百聞は一見に如かず -植物オルガネラの画像データベースの構築とその利用-」と題して講演の機会を与えていただきましたこと、大隅先生をはじめ関係者の皆様に深く感謝いたします。

本セミナーでは、私どもが構築してまいりました植物オルガネラの静止画や動画、電子顕微鏡写真を収集したデータベースと、画像データの利用についてお話させていただきました。昨今の顕微鏡技術の進展に伴い、膨大な画像データが、日々、産み出されています。そのような画像データは、個々の研究の目的のために使用されることが多いと思いますが、異なる視点から眺めると新たな知見につながることもあります。また、私どもが研究対象としております植物のオルガネラは、細胞内をダイナミックに移動し、形や数、大きさを変えます。そうしたオルガネラの動態を記述するには、画像データが便利です。しかしながら、画像データを取り扱うデータベースは決して多いわけではありません。2006年にVersion 1を公開して以来、多くの方にご意見をいただきながら、Version 3までアップデートをすることができました。その中の最も新しいコンテンツである電子顕微鏡写真を集めたElectron Micrograph Databaseが、IIRSや日本顕微鏡学会の掲げる電子顕微鏡写真のデータベース化というテーマと合っているということで、今回の発表の機会をいただきました。本セミナーでは、多くの方から質問やコメントを頂き、有意義な議論が行えました。今後のアップデートに活かして行きたいと思っています。

今後も引き続きデータベースのアップデートを行うと共に、他のデータベースとの連携や、画像データの保存と利用法について開発を進めていく所存です。電子顕微鏡写真のデータベース化におきましては、IIRSや日本顕微鏡学会の先生方にご相談させていたくこともあるかと思います。今後もどうぞよろしくお願い申し上げます。

第10回IIRSセミナーに参加して

広瀬治子(帝人株式会社 構造解析センター)

日本女子大学八十年館で行われた「第10回IIRSセミナー:電子顕微鏡のデータベース化」に参加、講演しました。「電子顕微鏡像のデータベース化」はIIRSの活動であると同時に、日本顕微鏡学会の公益事業企画推進委員会で調査を開始したところで、タイムリーな企画でした。IIRSの総会の後に行われたセミナーであったことから、九州からの参加者もあり、講演後活発な議論が出来ました。

自然科学研究機構・基礎生物学研究所の真野昌二先生は、すでに構築されている植物のデータベースについて講演されました。昨年アップデートされたデータベース、PODB3(The Plant Organelles Database ; http://podb.nibb.ac.jp/Organellome/)は教育・研究の目的で、全ての植物研究者から提供された実際の実験データから構築されており、データベースには静止画だけでなく動画もあり、また電子顕微鏡写真に対応したElectron Micrograph Databaseも構築されていました。データは誰でも無償で登録・検索・ダウンロードが可能で、そのデータの提供者を表示すれば必要なデータを使用することが出来るとのことでした。またデータの登録は何でもOKと言うわけではなく、審査したのち登録されるとのことでした。

広瀬の講演は、日本が世界に負けない「物づくり」の上で必要なデータベースについて講演しました。世界的な流れとして、生物を模倣した物づくり(バイオミメティクス)が急激に進んでおり、すでにアメリカ・ドイツ・フランスでは国家プロジェクトとして進められています。日本は一歩遅れたスタートであり、2012年高分子学会に「バイオミメティクス研究会」が発足し、文部科学省科学研究費新学術領域として「生物規範工学」が採択され、また経済産業省から高分子学会が委託を受け、国際標準化機構による標準化の活動がTC266(Technical Committee)Biomimeticsとしてスタートしました。そして今年バイオミメティクス推進協議会が立ち上がり、知識プラットフォームとして生物のデータベース化が始まっていることを報告しました。このデータベースとして電子顕微鏡像は必須であり、日本顕微鏡学会としてどうかかわっていくかの調査・検討を始めています。

講演後の議論では、論文の画像だけではなく、著名な先生が私蔵する画像データやネガデータを登録できないかとの意見が出ました。その場合、データにタグ(説明データ)をつけることの必要性、データの審査をどうするのかが問題となりました。一方アーティファクトのデータベースを作ってはとの意見もありました。著名な研究者の私蔵するデータが死蔵しない取り組みの必要性を感じました。

IIRSセミナー報告
JSTバイオサイエンスデータベースセンターの紹介

信定知江(JSTバイオサイエンスデータベースセンター)

第10回IIRSセミナーに参加させていただいた際に顕微鏡画像のデータベースを整備するというお話を伺いましたので、日本の生命科学データベースを広く共有し、有効に活用するための活動を行っているJSTのバイオサイエンスデータベースセンター:NBDC (National Bioscience Database Center: http://biosciencedbc.jp/) について活動内容を紹介させていただきます。 主要なサービスに、(1) データベースを探す(Integbioデータベースカタログ)、(2) データベースのデータを検索する(生命科学データベース横断検索)、(3) データベースを共有し再利用する(生命科学系データベースアーカイブ)がありますので、画像データの扱いについてそれぞれ以下で簡単にご紹介します。
(1) Integbioデータベースカタログ (http://integbio.jp/dbcatalog/) 国内外の生命科学系データベースの所在情報をまとめて整理しています(2014年6月時点で1400件弱)。トップ画面左下の<データの種類>にある「画像/動画」をクリックすると、画像/動画関連データベース(約260件)が表示されます。
(2) 生命科学データベース横断検索 (http://biosciencedbc.jp/dbsearch/) 生命科学系データベース (2014年6月時点で約430件) に含まれるデータを一括して検索できるサービスです。目的のキーワードを用い、実験データをはじめ、文献、特許情報を横断的に検索できます。ヒットしたページに含まれる画像をサムネール表示させることも現在進めています。
(検索例 : http://biosciencedbc.jp/dbsearch/result.php?phrase=mollusca&target_node=invertebrates&target_node_type=database )。
(3) 生命科学系データベースアーカイブ (http://dbarchive.biosciencedbc.jp/) 国内の生命科学研究者が生み出したデータセットを我が国の公共財としてまとめて安定的に維持し、データの一括ダウンロードを可能にすることでデータを有効に活用していくことを目的としたサービスです。トップページの右上からアーカイブ中の画像を検索することができます。

画像データベースのアーカイブ例として「Open TG-GATEs 病理写真データベース」があり、バーチャルスライドと呼ばれる巨大画像が多数含まれていて、検索・閲覧・ダウンロードができます。このようにまとまったデータであれば、適切な利用許諾をご相談させていただくことで、アーカイブとしてデータを受け取ることができますが、個々の画像・動画データの受け取りについては利用許諾などの問題を踏まえて今後検討すべきものと考えています。

IIRSセミナーに参加して

伊藤喜子(ライカマイクロシステムズ株式会社 インダストリー事業部
プロダクトエキスパートGr. 担当マネジャー)

広瀬先生からの電子顕微鏡像のデータベース化の欧州事情など、ソフト情報の保護が加速しているという点、活用性の意味など、知ることができ日本もしっかり遅れをとらずに対策が必要なのだという事を改めて思い知らされました。 普段、あまり気にしていないところでしたがちょっと目から鱗が落ちるようなテーマのお話しでした

そこで、先にお話し伺いました真野先生のご紹介の、植物分野で既に動き始めている データベースの最前線については、既に多数の美しい画像情報が保存管理されていて、 数が増えるほど有用性を増すだろうとの予感を感じさせるものがありました。 ただ、今後、情報量の増加を考えていく際、アップロードに関しては、フリーパスとの事で、 目の届く範囲のしっかり技術面・考察面で技量を把握できる同士のメンバーで構成されているならば、安心かと思いますが、投稿者数が増えるほど、そのデータの信憑性に関してのジャッジメントについては、十分対策をとっていく必要があるだろうという懸念もわきました。 インターネット環境は、自由度が高く有用性も高いですが、技術や装置に初心の方もアクセスできる自由度もあります。

また、装置は、揃っていてもうまく使いこなせていない場合も仕事柄痛感しており、アーティファクトとは?という概念も、データベースとしては、ある程度は、提示する必要もあるのでは? という事で、図書館の司書、美術館のキュレーター、雑誌の編集者など、情報量のやり取りが増えていくにつれ、意味あるフィルターを通して迅速に掲載するという事も、今後、必要になるだろうと感じました。


写真集

第10回IIRSセミナー写真集

座長:日本女子大学理学部 永田典子先生

 

自然科学研究機構 基礎生物学研究所
真野昌二先生

質問される兵庫県立大学大学院生命理学研究科
宮澤淳夫先生

帝人株式会社 構造解析研究所 広瀬治子様

モルフォ蝶から誕生した扇子を披露する広瀬治子様

JSTバイオサイエンスデータベースセンター
信定知江様

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