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第38回日本分子生物学会年会 第88回日本生化学会大会 合同大会
BMB2015フォーラムのご報告 名古屋大学ライブイメージングセンターが生み出すもの:
生物学的な発見、そして合成化学が拓く新しい世界

Live Imaging Center of Nagoya University:
biological discoveries, and power of synthetic chemistry

去る2015年12月1日(火)に第38回日本分子生物学会年会 第88回日本生化学会大会 合同大会において、綜合画像研究支援が企画しましたフォーラムを以下のように開催しましたので報告します。

演  者 東山 哲也 名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所 教授
日  時 平成27年12月1日(火)18:45〜20:15
会  場 神戸ポートアイランド 第20会場(神戸国際会議場 5F 502会議室)
オーガナイザー 大隅 正子(日本女子大学名誉教授/認定NPO法人綜合画像研究支援理事長)
山本 正幸(自然科学研究機構 基礎生物学研究所 所長)

プログラム

18:45〜18:50 趣旨説明
大隅 正子(認定NPO法人綜合画像研究支援)
18:50〜19:50 名古屋大学ライブイメージングセンターが生み出すもの:
生物学的な発見、そして合成化学が拓く新しい世界
東山 哲也(名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所 教授)
19:50〜20:15 総合討論とまとめ
山本 正幸(自然科学研究機構 基礎生物学研究所)
  • 講演される東山哲也先生

  • 座長される山本正幸先生

講演者よりの報告

東山 哲也(名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所 教授)

このたびはフォーラムでの発表の機会を頂きまして、オーガナイザーの大隅正子先生、山本正幸先生をはじめ、ご関係の皆様に心から御礼申し上げます。多くのかたにご参加いただきまして、綜合画像研究支援の活動の活発さを感じました。以下、講演内容と、会場から頂いたご質問などについて、まとめたさせて頂きました。

  1. 1.講演内容につきまして

    講演の前半では、名古屋大学のライブイメージングセンターの設立のきっかけともなった、植物の受精のライブセル解析について、紹介させて頂きました。植物の受精は、雌しべに隠されて解析の難しい現象です。トレニアという、卵装置が受精前の種子組織から突出するユニークな植物を用いることで、ライブセル解析を可能にしました。その結果、花粉管を卵装置に誘引する細胞や、その細胞が分泌する「ルアー」と命名した誘引物質の同定に成功しました。その成功を受けて、「顕微鏡下で自由自在に」をスローガンに、ライブセル解析を究めるためのERATOライブホロニクスプロジェクトを発足しました。マイクロ流体デバイスの開発がプロジェクト全体を加速し、植物受精の鍵分子群の同定が進みました。そして、種子組織内での受精卵の分裂や、受精以外の発生過程ではじめて見つかった細胞融合現象など、最新のライブイメージングの成果を紹介しました。また、発表から間もない植物透明化剤ClearSeeについても紹介しました。活発にご質問頂き、特に雌しべの中で多数の花粉管が、多数の種子組織に整然と1:1で誘引されていく仕組みについて、議論させて頂きました。

    講演の後半では、こうしたライブセル解析の技術が投入される、名古屋大学ライブイメージングセンターについて紹介しました。現在、センターを運営しているのは、WPIプロジェクトで発足したトランスフォーマティブ生命分子研究所(Institute of Transformative Bio-Molecules; ITbM)です。ITbMは化学と生物学のミックスにより、生命科学や技術を根底から変えるような革新的な分子の開発を目指す研究所です。研究室や分野の壁を取り払うことを目指す、ユニークな研究所です。イメージングのための化学プローブ開発も、重要な研究の柱の一つです。ライブイメージングセンターの特徴としては、1)「ライブイメージング」、「顕微操作」、「植物から動物まで幅広い材料」の強み、2)チーフコーディネーターによるサポート、3)オープンで成果につながりやすい運営、4)ERATOやITbMで開発された技術や分子がすぐに投入されること、などが挙げられます。化学蛍光プローブの例として、STED顕微鏡でも全く退色しない超耐光性分子の開発などを紹介しました。

  2. 2.会場から頂いたご質問につきまして

    「センターの運営はチーフコーディネーターに依存するのでは?」、「チーフコーディネーターは自分の研究もできているのですか?」といった趣旨のご質問を頂きました。ご指摘の通り、このようなセンターの運営は、チーフコーディネーターの能力に大きく依存します。歴代の優秀なチーフコーディネーターに支えられてきましたが、現チーフコーディネーターの佐藤良勝特任講師は、多くのケミストによる化学蛍光プローブの開発にも大きく貢献する、スーパーマン的なスタッフです。サポートの傍ら、しっかりと自身の研究も進めています。このようなポストを日本に確立していくことも、ライブイメージングセンターの使命かも知れません。

    また、日本を代表する光学メーカーのかたから、「光学系の開発はしないのですか」といった趣旨のご質問を頂きました。会場では、「全国のイメージング施設のネットワーク化が進んでいるので、各施設が個性を伸ばすようになるとよいと思います」とお答えしました。大学に戻りまして、この点を佐藤チーフコーディネーターと議論したところ、「ぜひ一緒に進めさせてもらいましょう!」と言われ、私の答えが不十分だったと感じております。思えば、しばしば開発途中の光学機器をライブイメージングセンターに運び込んで頂き、性能評価や開発にご協力させて頂いております。多くのユーザーが利用する施設ならではの方法で、光学系の開発にも貢献していければと思います。

  3. 3.最後に

    このように、フォーラムは研究や施設の紹介の場にとどまらず、会場と双方向での議論や、ネットワークの広がりにつながる機会となりました。あらためまして感謝申し上げますとともに、綜合画像研究支援のように日本のイメージング研究に貢献して参りたいと、気持ちを新たに致しました。

参加者から頂いた感想

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