お知らせ
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認定NPO法人綜合画像研究支援(IIRS)
第10回可視化技術ワークショップ(共催:日本顕微鏡学会生体解析分科会)
第14回アカデミックサロンのご報告
「イノベーションを牽引する企業研究・開発の現場
―画像がもたらす研究開発の新展開―」

去る2016年11月12日(土)に、認定NPO法人綜合画像研究支援 第10回可視化技術ワークショップおよび第14回アカデミックサロンを以下のように開催いたしましたので、報告します。

日 時 2016年11月12日(土) 13:00〜18:00
場 所 東京大学 武田先端知ビル5階 武田ホール

プログラム

13:00〜13:05 開会の挨拶
九州工業大学 安永 卓生
13:05〜13:45 再生医療用の足場材料リコンビナントペプチドの開発と応用
−写真感光材料で培った技術の応用展開−
富士フイルム再生医療研究所 吉岡 康弘
13:45〜14:25 画像解析を用いた顕微鏡画像の各種評価と機能性(ポリマー構造体等の評価)
東レリサーチセンター形態科学研究部 中村 一哉
14:25〜15:00 休憩
15:00〜15:40 凍結法を活用した電子顕微鏡による美味しさの評価
−より美味しい乳製品作りを目指して−
雪印メグミルク潟~ルクサイエンス研究所 神垣 隆道
15:40〜16:20 製品開発における電子顕微鏡の利用について
帝人轄\造解析センター 広瀬 治子
16:20〜16:30 総合討論
16:30〜18:00 司会 九州工業大学 安永 卓生
会場:武田ホール ホワイエ
アカデミックサロン「若手研究者の現状と今後の支援の育成」
併設で、商業展示し、新製品情報などをご覧いただきました。

主催者よりの報告

第10回可視化技術ワ−クショップ「イノベーションを牽引する企業研究・開発の現場
―画像がもたらす研究開発の新展開―」及びアカデミックサロンへのご参加の謝辞

安永卓生(IIRS会員)

今回、第10回可視化技術ワークショップを開催するにあたり、大隅先生と一緒に企画、運営する側での参加となりました。その際、企業現場での利用法を検討する事で、新たなシーズ、ニーズへの発掘、結合、そして、発展に繋がればよいとの思いから、今回の企画に至りました。講演者の方々には興味深い情報を提供頂き深謝いたしますと共に、50名を超える方々、特に多くの企業研究者・開発者の方々にご参加頂き、特に、数多くの質疑応答、討論の機会となったことは企画側として大変嬉しい状況でしたし、なにより私自身が知的好奇心に満ちたアクティブラーニングの時間となったことに、改めて感謝致します。

企業研究のお話を聞きながら、老舗の企業が、社会の変革の中で、自らの技術シーズを活かしながら、新たなアプリケーションに向けて企業の方針を大きく変えていることに感銘を受けました。本などでは生き残る企業の必須条件として知識としては知っていましたが、可視化技術という私自身の分野に近いところで、具体的な企業における取り組みを知ることができました。エンジニアリングの本質(「問題解決空間の科学」(MITより))を垣間見ることが出来ました。実際の現場で試行錯誤した実験技術、製品開発に関わるところが、実際に携われた方から聞くことが出来た点もまた、具体性が垣間見えた、技術系ならではともいえる企業との繋がりではないかと感じる次第です。つまり、そこには我々のもつ技術、知識、経験が、共に時間を共有していくことで、関与できる潜在的可能性を感じました。

アカデミックサロンにおきましても、それぞれの企業の方々、また、先輩先生方から、若手への指導等に関するご意見も頂く事ができ、同じ悩みの共有が可能であると知りました。アンケートの結果をみても、企業においても苦労されている部分でもあることも分かりました。指導論、コーチングはややもすると、ごく少数の経験に基づく、ヒューリスティックなものになりがちです。正解はないのかもしれませんが、なんらかの理論付けもまた、必要だと改めて感じました。ここにもエンジニアリングとしてのサイエンスの力が使えるはずだと感じる時間となりました。

改めまして、今回のような時間を共有出来ましたことに心より感謝申し上げますと共に、今後ともこうした繋がりを大切にさせて頂ければ幸いに存じます。今後とも宜しくお願いします。

第10回可視化技術ワ−クショップ「イノベーションを牽引する企業研究・開発の現場
―画像がもたらす研究開発の新展開―」を終えて

鮫島正純(IIRS会員)

今回のワークショップは、応用研究開発に画像技術や分析法が具体的にどのように取り入れられ、利用されているのか、あるいは企業がこれまで得意としてきた技術をどうのように展開して新たな需要に対応してきたのかなどに焦点をあてたものでした。

ワークショップ前半では、吉岡先生により富士フイルムが長年培ってきたコラーゲン技術を、再生医療に展開している状況を示されました。(株)東レリサーチセンターの中村先生はABS樹脂を基板としたポリマーアロイで創出した樹脂の評価として、FIB-SEMとTEM-トモグラフィーによる画像情報とその解析結果を示されました。

後半では、雪印メグミルクの神垣先生が、乳・乳製品の味覚を左右する乳タンパク質や乳脂肪の分布を最新の凍結技法を駆使して解析した結果を報告されました。最後に帝人(株)の広瀬先生は、生体用材料の生体適合性を電子顕微鏡で観察するためのポイントを、試料の前処理や樹脂の選択などを例に挙げて報告されました。

実践的な技術の紹介であったことから、いずれの講演に対しても、活発な質疑応答がありました。

話は前後しますが開会に当たり、大隅理事長および本ワークショップを企画された安永先生(九州工業大学)より、一般財団法人新技術振興渡辺記念会 平成27年後下期科学技術調査研究テーマ「生命科学の将来を築く若手研究者育成・支援策の現況評価と課題抽出を目指した調査研究」に引き続き、平成28年後下期科学技術調査研究テーマとして、「研究指導者育成の現状と異分野(特にスポーツ分野)における指導論に関する調査研究」が採択されたことが紹介され、その調査の一環としてアンケート調査にご協力いただきたい旨の挨拶がありました。

引き続くアカデミックサロンでも、安永先生の司会の元、上記調査研究にについて意見交換が熱心に続き、さらに商業展示をご出展いただいたニコンインスティク株式会社、日本電子株式会社、株式会社日本ローパー、株式会社日立ハイテクノロジーズ、ライカマイクロシステムズ株式会社、株式会社マックスネットの各担当者からのご挨拶も頂き、あっという間にお開きの時間となりました。

参加者から頂いた感想

日本電子(株)EMBU EM技術開発部 2G 第1チームリーダー 山崎和也

IIRSワークショップは今回初めて参加させていただきました。 ユーザーが,どういった目的で電子顕微鏡を使用して,得られた画像データをどう扱っているか,についてお話を伺えれば幸いと思い,参加させていただきました。 いずれの発表内容も,発表後のディスカッションも含めて大変興味深い内容でした。 製品開発において顕微鏡画像の解析が大変重要な位置付けにあることを改めて知ると同時に,顕微鏡を用いた解析手法においては,依然多くのボトルネックを有している現状についても、改めて認識しました。如何にそのボトルネックを解消し,より良い装置システムを紹介できるようになることがメーカーの重要な責務であり,イノベーションに必要な条件になると思いました。

また,今回多くのユーザーの皆様からの声を聞くこともできたのですが,学会とはまた異なった雰囲気でざっくばらんな意見を聞くことができた点も大変重要でした。ざっくばらんにお互いの意見をぶつけ合う機会というのは,どんなにコミュニケーション手法が発展しても,重要なことに変わりないことを改めて感じました。

今後も機会を捉えて参加させていただきたいと思います。

国際顕微鏡学会連合(IFSM)会長 物質・材料研究機構 古屋一夫

材料系の出身で、しかも電子顕微鏡のハードウエアの改良に携わってきた者にとって、我が国の生物系企業で、顕微鏡・可視化技術がどのように使われているかを知ることは、大変興味深いことでした。特に最初の「再生医療用の足場材料リコンビナントペプチドの開発と応用」で、富士フイルム再生医療研究所、吉岡康弘氏の講演の内容は、私にとって驚くべきものでした。富士フイルムが、ヘルスケアの分野に踏み出し、写真感光材料で培った技術を再生医療に応用展開していることは知っており、過去に一度お話を伺う機会がありましたが、その時点からの研究の進展のスピードの速さは、痛快の一言に尽きました。それに続いて、「ポリマー構造体等の評価」(東レリサーチセンター、中村一哉氏)では、FIB-SEMとトモグラフィーを巧みに利用した3次元解析と定量的な評価が、美しい立体像とともに示され、3番目の「凍結法を活用した電子顕微鏡による美味しさの評価」(雪印メグミルク(株)ミルクサイエンス研究所、神垣隆道氏)では、ヨーグルトなどの乳製品の凝集したタンパク質の構造解析に如何に電子顕微鏡が役立っているかが示されました。そして、最後の「製品開発における電子顕微鏡の利用について」(帝人(株)構造解析センター、広瀬治子氏)は、役に立つ顕微鏡技術が大いに強調された講演となりました。

企業における可視化技術の利用の効用が、網羅的に示された訳ではありませんが、その中から浮き彫りになってきたことは、その有用性と広範な応用範囲、そして、その成果が密接に我々の社会生活に結びついているということです。しかし、ここで2つの疑問が浮かび上がります。「誰が? 技術の担い手は誰で、どう発展させるのだろう?」と、「ボーダレスの時代における国際的な優位性はどうなのだろうか?」というものです。前者に関して、講演後のアカデミックサロンで「若手研究者の現状と今後の支援・育成」について意見交換がなされたのは極めて当を得たものでした。明確な結論を得るには十分な時間ではありませんでしたが、引き続き議論を深めて行く必要があるでしょう。残念ながら、2番目の点についてはあまり議論されなかったようです。若手の育成が最重要だとして、その「若手」は我が国にのみいるのではなく、ライバルはむしろ国外の思わぬ国にいるのです。地球の反対側で、日夜、顕微鏡を覗いて研究を続けていた「若手」が、あるタイミングで大きく飛躍し、世界にデビューすることは、大いにあり得ることです。顕微鏡や可視化技術が我が国のお家芸であることは今も変わらないと思います。しかし、ウカウカとはしていられないのです。その意味で、国際的な場での研究発表の機会を積極的に利用することは重要です。顕微鏡の国際的な学会活動は、現在、東アジア顕微鏡学会議(EAMC)、アジア・太平洋顕微鏡会議(APMC)、全世界を対象とした国際顕微鏡学会議(IMC)と、規模や地域・時期を選んで、参加できるように企画されています。また、若手の参加を推進する各種の制度もあります。形態観察から始まった生物系の顕微鏡・可視化技術がどちらの方向に発展するにしても、「我が国の若手の研究者が世界をリードする」状況であって欲しいと思います。

株式会社日立ハイテクノロジーズ 主管技師 小瀬洋一

IIRSのワークショップ、セミナーは毎回楽しみにしておりますが、ここ数回は予定が重複し欠席しておりました。今年は前日までの半導体デバイス関係学会から梯子して参加することができました。その半導体デバイス関係学会および関連産業界においても、培養細胞等の生物計測、検査、解析へ触手を広げようとしています。今回の第10回可視化技術ワークショップは、デバイス、材料、生物の可視化技術融合を考える上でタイムリーな内容でした。4名の講演者とも、大隅先生のご挨拶で強調された「IIRS活動を産業界での応用に展開する段階」を実感させる内容で興味深く拝聴しました。 最初の吉岡様(富士フィルム)のご講演は、「再生医療用の足場材料」の開発と応用に関する挑戦的内容でした。写真フィルムから全く異業種と見えたヘルスケアや化粧品へ事業展開は、独自コア技術を正確に把握した上での確信的な戦略でした。2と4番目のご講演は高分子材料の観察評価解析において、試料作成から画像の撮影と解析、材料開発へのフィードバックまでを具体的に知ることができる内容であり、装置メーカーとしては参考になる内容でした。3番目の神垣様(雪印メグミルク)のご講演では、クライオ電顕の身近な展開の重要性と課題に気付くことができました。クライオ電顕はタンパク構造解析のような最先端にのみ目が向きがちですが、食品、衣料などの成熟産業の中にも、IIRS等の支援で新たな解析評価技術が根付けば、成長産業への転換のきっかけとなり得ると確信しました。 アカデミックサロンは講演者を始め他社の技術者、経営者と交流する良い機会となっています。比較的コンパクトな会ですので、普段は懇談し辛いライバルメーカーと共通の問題意識を気軽に会話でき、ネットワーク作りに役立っています。サロンの冒頭で安永先生から「若手研究者の現状と今後の支援の育成」に関する中間報告がありました。「次代を担う若手研究者の育成」は企業においても重点課題です。研究者、技術者の源泉である大学において、20年後、50年後の日本の「ありたき姿」を見据えた方向に流れを戻すべく、本会が貢献されると期待しています。

大阪大学大学院医学系研究科 村井稔幸

このたびは、第10回可視化技術ワークショップに参加させていただき有り難うございました。今回は、「イノベーションを牽引する企業研究・開発の現場 ― 画像がもたらす研究開発の新展開 ―」というテーマで、おもに材料化学における電子顕微鏡利用の内容でした。

世界の最先端を行く企業の開発現場で電子顕微鏡技術がどのように利用され、どのような成果が出ているのかが大変よくわかりました。生命科学の分野とは大きく異なりますが、それだからこそ、大学で基礎研究をする者には一層勉強になる大変貴重な機会でした。講演後には白熱した議論がなされ、この分野が大変技術レベルの高いものであり、産学一丸となって技術の向上に取り組んでおられることを実感しました。会場に集われたわが国の可視化技術を牽引されている企業や大学の方々の、IIRSを通じて可視化技術を伝え、発展していくという熱意を強く感じ、大いに刺激を受けました。

ご講演いただきました皆様とオーガナイザーの安永卓生先生、そして理事長の大隅正子先生はじめIIRSの皆様に心より感謝申し上げます。今後のIIRS可視化技術ワークショップのますますのご発展をお祈り申し上げます。

物質・材料研究機構 鴻田一絵

私は透過電子顕微鏡の共用施設で技術員をしております。普段ウルトラミクロトームを使ったTEM試料作製を担当することが多いので、様々な材料の解析事例を拝見して勉強したいと思い、今回初めて参加させていただきました。

ひとつひとつのご講演に十分な時間をとってくださったおかげで、内容を詳しく伺うことが出来、助かりました。市販の教科書には載っていない貴重な情報を教えていただけるので、有難いです。また、帝人株式会社の広瀬先生のご講演最後に少しお話がありましたような、現場にいて自分で手を動かしている人にしか分からない悩みや気づきを分かち合える場は、この分野の研究や技術の発展を促すためにも、本当に必要だと再認識しました。

アカデミックサロンでは、学会発表等でお名前を存じ上げているものの、これまでお話させていただく機会のなかった先生方へご挨拶することが出来、それも貴重な体験でした。事務局の方々が温かく対応してくださったことも、有難いことでした。皆様本当に有難うございました。

参加頂いた方からの感想

現在、画像による評価・診断方法について興味を持っており、「可視化技術」に関するワークショップということで、初めて参加させていただきました。プログラムを拝見したところ、電顕関連の研究が多いようでしたので、そのまま応用というわけにはいかないかも知れませんが、何かしら画像で得られる情報を解析できる手法のヒントが得られれば、と情報収集の一環として期待しており聴講させていただきました。その観点では東レリサーチセンターの中村さまのご講演が一番参考になったと思います。ただ、その他のご講演につきましても、異業種のご研究はどれも興味深く、また時々ではありますが私自身でも電顕観察をする機会がございますので、具体的な実験条件等に関する情報を得られたことも有用であったと思います。どうも有難うございました。

写真集

  • 司会をする大隅理事長

  • 開会の挨拶をする九州工業大学 安永先生

  • コメントされる兵庫県立大学 宮澤先生

  • 講演される吉岡様

  • コメントされるIIRS理事山科先生

  • 講演される中村様

  • 質問される結核予防会結核研究所 山田様

  • 質問される(株)ライカマイクロシステムズ 長澤様

  • コーヒーブレイク

  • 企業展示

  • 企業展示

  • 企業展示

  • 講演される神垣様

  • コメントされる名古屋大学 臼倉先生

  • 質問される千葉大学真菌医学研究センター 山口先生

  • 講演される広瀬様

  • アカデミックサロンの風景

  • 乾杯の音頭をとる吉岡様

  • (株)日立ハイテクノロジーズ 許斐様

  • 日本電子(株) 金子様

  • ニコンインスティック(株) 西村様

  • ライカマイクロシステムズ 西山様

  • (株)日本ローパー 中島様

  • 最後の締めのご挨拶をされる国際顕微鏡学会連合会長 古屋先生

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