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日本顕微鏡学会 第59回シンポジウム アカデミック・ランチョンセミナーのご報告
「若手研究者育成・支援策 〜調査研究から抽出された課題提起〜」

2016年11月19日(土)、日本顕微鏡学会 第59回シンポジウムにおいて、認定NPO法人 綜合画像研究支援が企画しましたアカデミック・ランチョンセミナーを以下のように開催しましたので報告します。

演  者 澤口 朗 宮崎大学医学部解剖学講座 教授
演  題 「若手研究者育成・支援策 〜調査研究から抽出された課題提起〜」
主  催 日本顕微鏡学会 次世代顕微サイエンス若手研究部会
共  催 日本顕微鏡学会 生体解析分科会、 認定NPO法人 綜合画像研究支援
日  時 平成 28 年 11 月 19 日(土曜日)11:50〜12:50
会  場 帝京平成大学池袋キャンパス
座  長 安永 卓生 九州工業大学情報工学部 教授

講演では、IIRS研究協力者でもある、澤口 朗 宮崎大学医学部解剖学講座教授より、新技術振興渡辺記念会の科学技術調査研究課題として生命科学領域を調査対象モデルに、大学及び大学院をはじめとする高等教育・研究機関、関係学会等が遂行する若手研究者育成・支援策の現況を探るべく、中学生、医学部新入生などを対象にアンケート調査した結果などが紹介され、研究指導者の育成を目指した、更なる調査研究の実施への計画、展望などが提起され、参加した若手研究者、関連研究者などは大いに啓発されました。 以下に、その講演要旨を示します。(IIRS 川本 進)

講演要旨

「若手研究者育成・支援策 〜調査研究から抽出された課題提起〜」

澤口 朗(宮崎大学)、安永 卓生(九州工業大学)、大隅 正子(綜合画像研究支援)

優れた若手研究者を育成することは我が国の学術振興に不可欠であり、超高齢化社会で18歳人口が年々減少する厳しい状況を踏まえ、多くの可能性を秘めた若手の人材を発掘し、研究者として育成することは喫緊の課題となっています。特に近年、若者の理系離れから派生する科学研究者の減少が叫ばれて以来、官民学をあげた多角的な若手研究者育成・支援策が実行されていますが、その成否が判明するまでには更に数年ないし数十年の長期にわたる評価期間を要します。

そこで今回、新技術振興渡辺記念会の科学技術調査研究課題として「生命科学領域」を調査対象モデルに、大学及び大学院をはじめとする高等教育・研究機関、関係学会等が遂行する若手研究者育成・支援策の現況を調査しました。本調査を通じて、若手研究者が望む育成策や支援ニーズ等のアンケート調査結果をもとに課題抽出を加え、より有効な若手研究者育成に向けた方策を講じる上で有用な情報の提供と提言を行うことを目的に調査を進めました。

はじめに、講演者の出身校である横浜国立大学教育人間科学部附属鎌倉中学校を事前訪問調査した結果、生徒の理科に対する関心は高く、実験や実習も興味深く取り組む様子が明らかとなりました。しかし、ポスドク就職難等の報道から受ける将来の不安から、科学者を目指すことを奨める親が少ない傾向が教員から示されるなど、多角的な対策の必要性が見出されました。

続いて、研究の道へ進む学生の裾野を広げる方策を講じる観点から、医学部新入生(宮崎大学、東京医科歯科大学、金沢医科大学:計306名)を対象にアンケート調査を実施しました。その結果、「研究とは?」との設問に対して「発見・解明」= 30%と「探究・追究」= 27%があわせて過半数を占め、「人類・社会・未来への貢献」= 9%、「学ぶこと」= 8%、「科学の実践」= 8%、「ロマン・好奇心」= 5% が続くなど、研究に対する高い意識が可視化されました。同様に「博士とは?」という設問に対して、「専門分野を究めている人」= 54%、「世のため人のために活動する人」= 26%、「学び続ける人」= 10% といった回答が並び、博士(研究者)に対する学生の高い評価が明らかとなりました。

生命科学領域における先駆的な若手研究者育成プログラムの一例として、米国における医学教育で早期に導入された医学研究者育成MD(Medical Doctor)-PhD (Doctor of Philosophy) コースの概要を訪問調査した結果、米国細胞生物学会では積極的なコース紹介が展開され、大学によってはコース選択者の半数近くを女子学生が占めるなど、その実効性の高さを知ることができました。

今回の調査研究により、若手研究者育成の前提とも言うべき「研究指導者の育成」がどの様に養成されているかについて、その実態を調査する必要があると考えられました。今夏のリオ五輪で飛躍を遂げたスポーツ分野をはじめ、異分野における指導者育成論には「若手を育てる指導者の育成」を共通項に、研究領域での人材育成に応用・活用できる理論が存在するものと思われ、この視点から更なる調査研究の実施を計画しております。次代の科学振興に寄与すべく、本調査研究への皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

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