新年度のご挨拶

昨年10月3日に、IIRSの会員・研究協力者であられる大隅良典先生がノーベル生理学医学賞を受賞されるとの報道があり、IIRSにとりましても、大変喜ばしく存じました。

先生のご研究のスタートは、光学顕微鏡を使ったオートファジー現象の観察にあります。それを電子顕微鏡で確認したことが、遺伝子解析への引き金となり、オートファジーのメカニズムの発見となりました。一昨年のノーベル化学賞は「超解像顕微鏡の開発」でしたが、これが世の中の目が可視化技術に向けられる格好のチャンスとなり、引き続き良典先生の今回のご受賞で、益々“視る事の必要性”が認識されたと思われます。これを機会にして、IIRSは設立の柱の一つである、“物を可視化する事の必要性”を世の中に浸透させる努力を、さらに強めるべきであると考えます。

昨年度も会員の皆様の暖かいご支援を頂いて、6月の顕微鏡学会と9月の植物学会でシンポジウムを、11月の分子生物学会で年会フォーラムを開催し、会員外の方々に“視ることの必要性”の普及・啓発に努めました。11 月のワークショップでは、「イノベーションを牽引する企業研究・開発現場〜画像がもたらす研究開発の新展開〜」を行い、参加者の皆様の大変活発な議論・意見交換ができました。続いて行われましたアカデミックサロンも、有意義なイベントとなりました。また、昨年秋の顕微鏡学会で、初めてアカデミック・ランチョンセミナーを設けて、「若手研究者育成・支援策〜調査研究から抽出された課題提起〜」を行い、会員の皆様の間で貴重な意見交換ができました。これらの活動の成果を会員の皆様にもご覧頂きたく、IIRSのホームページに多くの紙面を割いて報告しましたので、是非ご覧頂きたく存じます。

新技術振興渡辺記念会からの調査研究助成については、研究者育成を柱とした研究を取り上げ、まず平成27年度下期の調査研究助成を受けて、澤口朗会員を代表者とした「若手研究者育成・支援の調査研究」を纏め、次のステップとして平成28年度下期からは安永卓生会員を代表者として、「研究指導者育成の現況と異分野(特にスポーツ分野)における指導論に関する調査研究」へと発展・継続がなされ、さらに29年度下期の調査研究助成にて、「キャリアパスの問題」を取り上げて、全三部作としてこの研究を纏める計画を予定しております。

今年度は5月の札幌市における顕微鏡学会において、「最新イメージングを使った植物科学の新展開」のシンポジウムを、9月の野田市における植物学会では、植物形態学会の共催でシンポジウム「究極のオルガネラ研究」を、12月に神戸で開催される分子生物学会年会のフォーラムでは、「クライオ電子顕微鏡で見る繊毛の構造と仕組み」を、それぞれ御講演頂く予定にしております。

創立以来13年目となります今年度は、IIRSがこれまで培ってきました“視る事の必要性”をキーワードとして、人材育成事業、研究支援事業、普及・啓発事業と調査研究事業を再考し、それぞれの事業の更なる発展を目指して活動を進めてまいりたいと思っております。

今年度も、会員の皆様のご活躍とご健康を祈念し、IIRSへの一層のご支援をお願い申し上げまして、新年度の開始に当たりましてのご挨拶とさせて頂きます。

認定NPO法人綜合画像研究支援
理事長 大隅 正子