お知らせ
<< お知らせ一覧へ戻る

認定NPO法人綜合画像研究支援(IIRS)
(共催:日本顕微鏡学会生体解析分科会)
第12回可視化技術ワークショップ・第18回アカデミックサロン
のご報告

日 時 2018年11月10日(土) 13:00〜18:00
場 所 東京大学武田先端知ビル5階 武田ホール

プログラム

第12回可視化技術ワークショップ
「顕微技術の先端開発と応用研究の現状と将来を見通す!」

13:00〜13:05 開会の挨拶
臼倉 治郎(認定NPO法人綜合画像研究支援)
座長:光岡 薫(大阪大学超高圧電子顕微鏡センター)
13:05〜13:45 「最小生物、マイコプラズマの三種の運動装置」
宮田 真人(大阪市立大学大学院理学研究科)
13:45〜14:25 「生体分子の構造ダイナミクス1分子計測法&微小リアクタを用いたデジタル分析技術」
野地 博行(東京大学工学部応用化学科)
14:25〜15:00 休憩&商業展示
15:00〜15:40 「クライオ電子顕微鏡を活用した自動車電池開発」
高橋 真一(日産自動車(株)総合研究所 先端材料研究所)
15:40〜15:50 総合討論
敬称略

第18回アカデミックサロン(意見交換会)
「産業界とアカデミズムの接点を求めて“技術開発と人材育成”」

16:00〜16:20 商業展示の紹介
16:20〜16:50 「グローバルに電顕業界で活躍する若手博士に映る姿」
荒牧 慎二(TVIPS JAPAN)
16:50〜17:20 「バイオと自動車の融合によるブレークスルーを求めて」
高橋 真一(日産自動車(株))
17:20〜18:00 総合討論
敬称略

主催者よりの報告

第12回可視化技術ワークショップと第18回アカデミックサロンに参加して

光岡 薫(大阪大学超高圧電子顕微鏡センター・IIRS会員)

IIRSの第12回可視化技術ワークショップでは、「顕微技術の先端開発と応用研究の現状と将来を見通す!」というテーマで、大阪市立大学の宮田真人先生と東京大学の野地博行先生、そして日産自動車(株)の高橋真一先生の3名が講演されました。私は、それら講演の座長をさせていただき、話を間近でお聴きしました。

まず宮田先生は「最小生物、マイコプラズマの三種の運動装置」というタイトルで、いくつかのマイコプラズマの仲間の滑走装置の構造に関わる話をされました。そのうちの1つは、私が共同研究を行っている液胞型ATPアーゼ/合成酵素と相同の部分があり、次の講演者である野地先生のF型ATP合成酵素も含めて、それらの進化的な関係などに興味を引かれました。また、それらの構造は電子顕微鏡(電顕)を用いて解析されており、今後、細胞内での機能している複合体の構造を可視化する上での電顕の重要性が増すと感じることができました。

次の野地先生は、「生体分子の構造ダイナミクス1分子計測法&微小リアクタを用いたデジタル分析技術」というタイトルで、光学顕微鏡による機能解析の現状と微細加工技術との組み合わせによる技術開発について紹介されました。電顕の生物試料作製においても、FIB-SEMを用いた微細加工が利用されるようになっており、このような試料加工技術の将来性を考えることができました。

休憩をはさんで、最後に高橋先生が、「クライオ電子顕微鏡を活用した自動車電池開発」というタイトルで、クライオ電顕を利用した微細観察の電池開発への応用例の話がありました。この講演から、クライオ電顕の生物以外への応用の将来性を感じることができましたが、同時に、有機溶剤など生物試料と比べて多様な物理的性質を持つ材料に対応する必要があり、その困難も感じました。若手の研究者が、クライオ電顕を用いた、このような困難な技術開発にも取り組んでくれると良いと思いました。

最近、平成30年度下記の渡辺記念会調査研究に、私を研究代表者として「生体試料の高分解能構造解析のためのクライオ電子顕微鏡法の現況と将来展望に関する調査研究」が採択されました。この調査研究には、IIRSにも事務局として参加頂いています。協力して調査研究を進めることで、このようなクライオ電顕の研究に、若手の研究者が容易に取り組むことができる環境の整備に努めたいと思います。

第18回アカデミックサロンは、「産業界とアカデミズムの接点を求めて“技術開発と人材育成”」というテーマで、ワークショップの講演者である高橋先生と、TVIPSの荒牧さんが話をされました。若い研究者が研究分野を選ぶ際に、その分野の産業が発展しており、その産業界と密接な関係があることも重要と考えられます。そのような関係が構築できる場として、IIRSが企画するアカデミックサロンなどが今後も機能することを期待しています。

参加者から頂いた感想

第12回可視化ワークショップならびに第18回アカデミックサロンに参加して

寺西 亮佑(株式会社カネカテクノリサーチ)

かねてより興味を持っておりました本会に、今回初めて参加させて頂きました。
ワークショップでは、貴重なお話を聞くことが出来、最先端の基礎から応用に至る研究開発において可視化技術の持つ重要な役割を改めて認識致しまし。
中でも野地先生が開発された微小リアクタを用いたデジタル分析技術は、高い定量性、デジタル化などの特徴が非常に興味深く、多方面への応用に向けて将来性を期待される分析技術であると強く感じました。

アカデミックサロンでは、荒牧様のお話より、企業に就職された課程博士号取得者の状況、それを取り巻く環境が理解しやすかったです。海外の博士を取り巻く環境やその国内への影響、お話の中にあった企業の博士採用満足度の高さを考えると、課程博士についても今後、少しずつ割合が増えていくことは自然な流れとして期待できると思います。荒牧様のような方のお話を聞く機会が、本会などの様々な場で増えることが、国内の課程博士を取り巻く環境の変化へのきっかけになるではないかと感じ、今後に期待したいと思います。

高橋様のお話からは、一見繋がりが無さそうな他分野と繋がりを持つことで役に立つ技術があることや、それについて理解を得て、利用、応用に辿り着くまでの難しさが分かりました。ワークショップのご発表の中でもあったように、クライオ電子顕微鏡法にたどり着くまでに数年の時間を要したこと、その技術により開発上の課題の解決が前進したことは、課題解決に至るまでの難しさ、厳しさと他分野との繋がりによる可能性、将来性が拡がることを示された事例として勉強になりました。

第18回アカデミックサロンに参加して

人見 能貴(キリン株式会社)

今回、初めてアカデミックサロンに参加させていただきました。私自身は可視化技術については全くの素人で、さらに研究現場から5年以上遠ざかっていますので、最新の研究開発や科学技術の話題にはついていけないのですが、今回のテーマは“技術開発と人材育成”とお伺いし、楽しみにして会場に参りました。

荒牧様、高橋様のお話は期待通り、大変興味深いものでした。お二方のお話の共通点として感じたことは、ご専門の分野における知識やご経験を他の分野と結び付けようとされていることで、異分野との融合によるイノベーションを生み出すためのお取組を実践されているという印象を受けました。

また、皆様がアットホームな雰囲気の中、自由に意見交換されているお姿も非常に印象的でした。このような有意義な会に参加させていただきまして、大変有難うございました。

企業の一括採用試験は、博士にはなじまない

鮫島正純(IIRS会員)

IIRSワークショップ後のアカデミックサロンでは、昨年まではIIRSが取り組んでいる課題の紹介が何年か続いていましたが、今回はやや趣が異なりました。その前半では、博士号を取得して企業に職を得た若手がその経験を話されました。その中で、採用した“博士”を企業が非常に高く評価しているというアンケート結果が紹介されました。これは意外でした。なぜなら、これまで博士号取得者の就職問題をマスコミが取り上げる際に紹介されてきた企業の見方は、“博士は扱いにくい、組織になじみにくい”が常だったからです。企業側のとらえ方が変わりつつあるということでしょうか。

この話題に関連して、“4月一括採用=採用試験の一括実施”を問題視する意見が出ました。この点については私も同感です。12、3年前になりますが、私の子供が工学研究科で博士号を取得して就職する際のことです。学位取得の目途がついた9月になってから就活を始めましたが、その際の壁が“採用試験の一括実施”でした。幸い、幾つかあたるなかに博士の採用試験を随時実施する企業があり、無事就職いたしました。

最近は博士後期課程の3年間で学位を取らせないと、指導教官がマイナス査定されてしまうという無茶な傾向がありますが、それでも3年間で必ず博士号を取得できる保証は皆無です。その点が、“学生の卒業見込み”とは大きく異なる点です。博士号取得を目指して研究課題に取り組んでいる院生には、就活を同時に進める余力はありません。一括採用試験は博士には全くなじまないのです。博士採用試験の随時実施が多くの企業に広まることを期待します。

第12回可視化技術ワークショップ、第18回アカデミックサロンに参加して

山口正視(千葉大学・真菌医学研究センター、IIRS会員)

今回のワークショップは、大阪市立大学の宮田真人先生が「最小生物、マイコプラズマの三種の運動装置」と題して講演されました。宮田先生の講演は、以前にもお聞きしましたが、今回も、非常に興味深いお話でした。マイコプラズマ・モービレの運動の様子を実時間でビデオで示され、デタージェントで細胞を溶解した後、ATPを加えると、死んだマイコプラズマが、生きているように動き出す映像には感動を覚えました。クライオ電顕などを用いて、運動のメカニズムを分子レベルで解明されたこともすばらしい成果だと思います。また、生物の運動の仕組みには、18種類あること、マイコプラズマの運動様式は、他のどの生物にもない独特のものであることなども、興味深いお話でした。日産自動車の高橋真一様は、「クライオ電子顕微鏡を活用した自動車電池開発」と題して講演されました。一見無関係に見える自動車関係の研究で、電子顕微鏡が重要なツールになっていることを明確に示され、電子顕微鏡を使っている研究者の一人として大変嬉しく思いました。同時に、電子顕微鏡の有用性を、他の分野の人々に知らしめることの重要性を感じました。アカデミックサロンでは、TVIPS JAPAN の荒牧慎二様が「グローバルに電顕業界で活躍する若手博士に映る姿」と題して、お話しされました。ドイツに本部のある十数人の小さな会社で、日本には、荒牧さんが一人だけであるにも拘わらず、スカイプで英語でコミュニケーションをとり、のびのびとお仕事をされている様子が伺えました。日本では、博士号をもった研究者が、会社に就職する割合が、欧米に比べて少なく、もっと日本でも、会社で活躍する人材が増えてほしいと思いました。

第18回アカデミックサロンに参加して

伊藤 喜子(ライカマイクロシステムズ(株)マーケティング部、IIRS会員)

商業展示では、ご参集いただいた各企業の方から楽しく各展示の特徴や企業紹介いただきつつ、今回のアカデミックサロンのテーマ「産業界とアカデミズムの接点を求めて"技術開発と人材育成"」で、司会進行させていただきました。

学生の頃から存じ上げており、グローバル企業に就職されたばかりの荒牧様のフレッシュな視点で働く現場のお話を伺い、共同研究で長年ご一緒させていただいている高橋様から基幹産業でのブレークスルーを求めた夢や悩みなど、企業に在籍しながら活躍されているお二人の視点で、話題提供をいただきました。

博士ホルダーで企業人という方は、日本では、まだまだ人口が低く、逆に外資系企業の立場では、海外のマネージメントクラスにごく当り前に目にするという点で、博士の方の企業就職は、何かと話題にあがる昨今。コンサバティブで人と揃ってが得意な日本人には、こんな風に、実際に活躍している方にスポットを当てて、活躍姿を提示するのは、刺激としてとても良いことだと思い巡らしながら、ご参加の皆様から、企業からの立場、大学からの立場など、多面的なお立場での活発な意見を拝聴することができました。高橋様からは、日本の基幹産業である自動車開発での未来に、バイオミメティックスをはじめ生物の機能を自動車に応用したいという夢のあるお話をいただき、生物の造詣をいち早く取り入れながらモノづくりに応用している高分子トップ企業の方からのご意見をはじめ、ものづくりの永遠のテーマでもある「ブレークスルー」に関して、沢山の活発なご意見を、和やかな雰囲気で頂戴しました。はじめ、大変なお役を頂戴したなと思っておりましたが、ご参加の皆様から、マイク待ちしながら楽しげにお話いただけて、司会進行役として楽しく進めさせていただくことができました。結局のところ、どんな分野にしても、各方面の方との和やかな対話の数々は、様々な問題を有機的に解決する糸口になると確信しました。

本ワークショップに開催にあたり8社の企業に商業展示にご参加頂きました。ここにご協力いただきました企業名を掲載いたしますとともに深く御礼申し上げます。

  • サーモンフィッシャーサイエンティフィック(株)
  • (株)真空デバイス
  • (株)システムインフロンティア
  • (株)ニコンインステック
  • 日本電子(株)
  • (株)日立ハイテクノロジーズ
  • ライカマイクロシステムズ(株)
  • (株)マックスネット

写真集

  • 挨拶される臼倉先生

  • 司会される光岡先生

  • 講壇される宮田先生

  • 質問される宮澤先生

  • 質問される川本先生

  • スライドを熱心に見る参加者

  • 講壇される野地先生

  • 質問される青山様

  • 講壇される高橋様

  • 質問されるメグミルク(株) 神垣様

  • 質問される和気先生

  • 質問される野地先生

  • IIRS出版物の展示

  • 司会されるライカマイクロシステムズ(株) 伊藤様

  • アカデミックサロン風景

企業展示の紹介

  • (株)真空デバイス 管家様

  • 日新EM (株) 工藤様

  • (株)ニコンインステック 蒲生様

  • (株)マックスネット 石村様

  • (株)日立ハイテクノロジーズ 森様

  • ライカマイクロシステムズ(株) 田中様

  • サーモフィッシャーサイエンティフィック 日本エフイー・アイ(株) 青山様

  • 講壇されるTVIPS JAPAN 荒牧様

  • アカデミックサロン風景

  • 意見交換される宮澤先生、帝人(株) 広瀬

  • 講壇される日産自動車(株) 高橋様

  • (株)カネカテクノリサーチ 寺西様

  • 盛り上がる意見交換

  • 感想をのべるTST 東貴美子様

  • 感想をのべる理研 佐藤繭子様

  • 挨拶する理事長

  • (株)真空デバイス

  • 日新EM (株)

  • (株)ニコンインステック

  • マックスネット

  • (株)日立ハイテクノロジーズ

  • ライカマイクロシステムズ(株)

  • サーモフィッシャーサイエンティフィック 日本エフイー・アイ (株)

  • 日本電子(株)

  • アカデミックサロン風景

▲ページtopへ
<< お知らせ一覧へ戻る