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第16回IIRSセミナーのご報告

去る2021年6月12日(土)アクセア半蔵門 第1会議室及びオンライン配信において、第16回IIRSセミナーを開催致しましたので、ご報告致します。

 時 2021年6月12日(土)
開  場 15:00
講演開始 15:20
 場 アクセア 半蔵門貸会議室 第1会議室  及びオンライン配信
東京都千代田区隼町2-13 US半蔵門ビル 5F TEL:03-3556-6330
●東京メトロ半蔵門線【半蔵門駅】1番出口より徒歩約1分
●東京メトロ有楽町線【麹町駅】1番出口より徒歩約8分

プログラム

15:20〜17:00 第16回 IIRSセミナー

座長:安永 卓生 (九州工業大学大学院)
15:20〜15:25 開会挨拶
15:25〜15:55 「A型インフルエンザウイルス(IAV)感染過程のイメージング」
臼倉 治郎(名古屋大学名誉教授)
16:00〜16:30 「クジラが目指す二つの道」
加藤 秀弘(東京海洋大学名誉教授、(一財)日本鯨類研究所顧問)
16:35〜17:00 2020年度下期(一財)新技術振興渡辺記念会科学技術調査研究
「生体大規模3次元データ解析における情報系研究者との共同ニーズと人材育成」
太田 啓介(久留米大学医学部)

主催者よりの報告

第16回IIRSセミナーのご報告

安永 卓生(九州工業大学大学院・IIRS理事)

今回、ハイブリッド型のオンライン開催として、実施させて頂きました。不手際等もございましたが、皆様の手助けもあり、無事に終了することができましたことを感謝申し上げます。また、オンラインであるからこその、遠方からの参加者もいらっしゃることから、時代が大きく進んだことも実感したセミナー企画となりました。

今回、臼倉先生には、多様な顕微技術の組み合わせによる、インフルエンザ感染に関わる挑戦的な事例を、加藤先生には、形態学が示す研究の方向性、そして、研究に向かう態度等をお示し頂きました。巨人の肩に乗るとは申しますが、巨人の背をみながら、日々に追われてしまっている、昨今の、悪い側の大学人である自分に猛省する時間と、好奇心から純粋に、本講演を楽しんでいる時間と、二つの時間が並列する機会を得ることとなりました。ご講演頂きました、お二人の先生方には心より感謝申し上げます。

参加者の皆さんからも感想を頂いておりますが、それに目を通させて頂く中でも、皆さんにとりましても、良い時間となったものと信じております。改めまして、皆様への感謝を申し上げます。

参加者から頂いた感想

第16回セミナーにて

甲本 真也(沖縄科学技術大学院大学)

顕微鏡の世界に魅了されて以来、目の前にある不思議な物や現象をミクロの世界で楽しんできました。一見簡単そうに見える顕微鏡での観察ですが、大変奥が深く、サンプルや目的に応じて様々な顕微鏡手法を駆使しながら、奮闘している日々です。

可視化して、数値化する。私は顕微鏡観察ができて仕事半分、そこから情報を抽出してもう半分だと思って取り組んでいます。この一連の流れで取り組むのは非常に挑戦的ですが、それを最後まで形にすることを体験するのはとても面白く、常に新たな発見を最初に見ることができる喜びがあります。

私がIIRSに参加しましたのは、顕微鏡観察手法から解析技術までのイメージングのトータルサポートを行いたいと常々思っていたからでした。

第16回IIRSセミナーでは、臼倉先生による、蛍光顕微鏡、電子顕微鏡、原子間力顕微鏡など多種多様な顕微鏡観察手法を経て得られた画像から、必要な情報を抽出して、研究を進める挑戦的な実例を拝聴させて頂きました。

加藤先生のクジラのお話では、純粋に形態学の面白さ、先入観なく対象物を観察する際の心構えなど、非常にスケールの大きなお話で、興味深く聞かせて頂きました。研究を続けていく上で、研究手法などは目まぐるしく変化していきますが、一緒に議論していける研究者仲間の存在の大切さと言いますか、研究者人生の向き合い方を教えて頂いた気がします。

太田先生の「生体大規模3次元データ解析における情報系研究者との共同ニーズと人材育成」のテーマは、私も顕微鏡施設の管理運営を担うようになってから直面している事で、今後の発展に大いに期待する所です。

冒頭にも書きましたが、可視化して、数値化する、この一連の流れをどの様に持っていくかは、研究の進歩に大きく影響する為、顕微鏡観察と画像解析の双方のスペシャリストとの共同でのアプローチは今後ますます必須になってくると思います。IIRSの設立趣旨でもありますが、研究技術の提供と支援、技術者と研究者のネットワークづくり、培われた能力と経験の活用、若手の育成、などいずれも今後の科学技術発展には欠かすことが出来ない項目です。

今回のセミナー参加を通じて、改めて、形態学の面白さを、異分野の研究者との交流の大切さを、人材育成の大切さを、再認識することが出来ました。

「百聞は一見に如かず」の諺にありますように、聞く、見る、だけでなく、それを何のためにやるのか、と考え、成果に結び付けることで、その面白さを多くの人と共有できればと思います。

IIRSの皆さま、ありがとうございました。

第16回IIRSセミナー感想

中島 慎治(株式会社 大和テクノシステムズ)

「A型インフルエンザウイルス(IAV)感染過程のイメージング」
臼倉 治郎(名古屋大学 名誉教授)

現代社会において、否が応でも身近になってしまったウイルス感染。1つの細胞から、おびただしい数のウイルスが再生産される様子は、画像の力を如何なく発揮していた。
先端科学の多くのことを「知る」ことができるが、「見る」ことが直接できるものはもはや少ない。
AFMとクライオTEM、ウイルス感染症に対して、先端の顕微技術がもたらす直接観察から得られる知見は、その重要性が科学のみならず文化人類学的にも益々大きくなるのではないだろうか。

「クジラが目指す二つの道」
加藤 秀弘(東京海洋大学 名誉教授、(一財)日本鯨類研究所 顧問)

同サイズの地上哺乳類より、あるいは恐竜よりも、クジラに雄大さとロマンを感じるのはなぜだろうか。
鳥は飛んでいる間だけ3次元だが、クジラたちは常に3次元だからではないだろうか。後肢を捨てて水の世界の住人となった彼らも、二系統に分かれて今なお模索を続けている。
良質なドキュメンタリーを観たような、そんなご講演でした。

「生体大規模3次元データ解析における情報系研究者との共同ニーズと人材育成」
太田 啓介(久留米大学医学部)

民生品のカメラは、人の顔を認識してピントを合わせてくれる。
しかし、新しい研究をするにあたって、特に形状の不定さが厄介な生体データに対して、それをどういう情報処理で利用するのか、今は生物学者と情報学者の接点が大事だが、その後は両者の間をつなぐツール、例えばスタンダードとなるテキストが求められているようにも思える。
または、新規の対象をデータ化することに長けたスペシャリストが、技術系科学者として地位を確立するのではないだろうか。

第16回IIRSセミナーを受講して

大木 智晴(株式会社 大和テクノシステムズ)

この度は綜合画像研究支援様のセミナーに初めて参加させていただきまして、率直な感想を述べてほしいとのこと承りまして筆を執った次第です。

始めに想像という意味でのイメージから述べさせていただきます。今回のセミナーを受講するにあたり事前にIIRSのホームページで設立趣旨やコラムを拝見して私はこのように感じました。正確にはこのような認識、思い込みのもとご高名な3人の先生方の発表を拝聴したという趣旨になります。思い込みですので、そこに繋がる要因である私の背景を簡単に述べさせたいただくことをご容赦願います。私は分析機器や電子顕微鏡の部品を扱うメーカーに十余年弱勤めて参り現在は電子顕微鏡部品の開発をしております。開発者と申しましたが、いち電子顕微鏡のユーザーであり、日々電子顕微鏡に頼っては顕微鏡が写し出す様々な事象に右往左往し試行錯誤を繰り返しているいち電子顕微鏡ユーザーであります。私が今回のセミナーに対して抱いたイメージは、一つ目のご講演をされた臼倉先生の「A型インフルエンザウイルス(IAV)感染過程のイメージング」のようなものになります。生物試料を対象として顕微鏡で特定の現象を可視化した成果を発表する場と勝手に認識しておりました。ところが、次の加藤先生のご発表になりますと顕微鏡の画像がございません。更に最後の太田先生のご発表は画像で何らかの可視化・解析を扱ったものではなかったので、演題の視点や角度の振り幅に面食らった印象を受け、同時にセミナーの在り方を再認識した次第です。

次に各ご講演の内容について感想を述べさせていただきます。臼倉先生のご発表ではAFMによる観察動画やTEM画像を存分に提示されていて反応や現象について前知識がなくとも興味を惹かれました。狙った現象をどのように視るかは装置の性能も重要ですし、試料作成においても大変工夫をされていると存じます。明瞭なTEM画像のスライドショーを拝見してこの研究のアプローチと説得力には恐れ入りました。加藤先生のご発表はクジラの進化と生態について研究の思い出話や背景を交えて語られていて、とても趣のあるお話でした。これまで海洋学の分野は必修ではなかったため知識として疎いもので、「クジラは昔陸を歩いていた」という大隅先生の著書の引用を目にするだけで、そうだったんだぁと単純に感動し、今度水族館で子供に蘊蓄を語れるなぁと下心が沸きつつも大変興味深い内容でした。太田先生のご発表は私にとって特に実務という面で参考になる内容でした。太田先生が提起されていますデータ解析に対し、私はImageJのソフトで粒子解析をいじる位なので規模が全然違うのですが、先人としてどのように取り組んでいくかなどを示していただいており、大変参考になるアドバイスと感じられ、勉強になりました。

最後になりますが無限に広がる生物という対象の何かにフォーカスしてアプローチすることの難しさや妙味を改めて感じる有意義なセミナーに参加させていただき、僭越ながら感想を述べる機会をいただき感謝申し上げます。

写真集

  • 会場でご講演される臼倉先生

  • 会場でご講演される加藤先生

  • オンラインでご講演される太田先生

  • 座長の安永先生

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