認定NPO法人綜合画像研究支援(IIRS)解散のお知らせ

綜合画像研究支援(Integrated Imaging Research Support, IIRS)は、2022年2月19日をもちまして事業活動を停止し、同年3月末日をもって事務所を閉鎖することとなりました。2004年に、日本の生命科学と科学技術の発展に貢献すべく創設してから本日までのことを思いおこしますと、大変多くの方々にご支援とご協力をいただきながら活動を継続することができ、わずかではありますが役目を果たせたと感じております。あらためて、会員の皆様をはじめとする関係者の皆様に心より厚く御礼申し上げます。

IIRSでは、2004年6月16日の創立以来、生命科学の研究を主たる対象として、超微構造研究技術の提供と支援、研究方法論に関する専門的助言と研究成果の評価、高水準の技術者と研究者をつなぐネットワークづくり、その能力と経験の有機的な活用、技術を継承する若手研究者・技術者の育成等により、わが国の科学技術の振興に寄与することを目的として活動してまいりました。

IIRSが創立されて間もない2006年に「一般財団法人新技術振興渡辺記念会」の科学技術振興調査研究プロジェクトをご紹介いただき、そこで豪州における研究機関の共同利用の状況を調査・視察する機会を得て、日本にも同様の機構の実現をという思いから、IIRSに「微細形態科学研究装置共同利用ネットワーク(CUMNET)」を設立することができました。これまでに、18の研究機関・施設にご加盟いただき、70件以上のご利用をいただきました。加えて、同調査研究プロジェクトのもとでの活動として、科学技術振興にあたり時代に即応して起こる諸問題について、13件の可視化技術に関する調査研究課題を提案・実施してきました。各年度の研究終了後には報告書を刊行して、一般財団法人新技術振興渡辺記念会をはじめ、文部科学省、科学技術振興機構、関連する企業・団体などに寄贈してまいりました。また継続的に調査研究を進める中で、若手研究者、および指導者の育成の重要性が指摘され、積極的に人材育成事業を推進すべく活動してまいりました。これまでに14回の可視化技術ワークショップ、16回のIIRSセミナー、19回のアカデミックサロンを継続して開催し、多くの研究者の皆様から、様々な分野の話題を提供していただきました。また、顕微鏡学会の冠ワークショップやシンポジウムでのモーニングレクチャー、分子生物学会の年会フォーラム、植物学会での植物形態学会と共催でのシンポジウムは、毎年の開催が定着し、多分野での可視化技術の普及に貢献してきたと自負しております。また最近の2年間は、オンラインシステムを導入し、ライブ配信によるIIRSイベントを開催致しました。オンラインで開催したことにより、国内外の大勢の方々にご参加いただき、ウィズコロナ時代の大変な中でも素晴らしい成果を得られましたことは、とても嬉しく存じました。

研究・評価の支援事業では、多岐にわたる分野を対象として、微細形態観察から元素分析に至るまで、多くの研究を支援してまいりました。本事業を通して、学術論文の発刊、学会発表、出版物、企業の基礎研究支援など多くの成果を挙げることができました。近年では、IIRS会員の研究協力者によるコンサルタント業務も推進してまいりました。

さらに今年度は、超微構造の研究及びその可視化技術の推進と発展を目的として、当該学術分野で活躍が期待される若手研究者を支援するべく、『超微構造研究助成』制度を創設しました。今年度は初回募集にもかかわらず、生物系、材料系の学術領域から13件の応募があり、厳正な審査を経て3件の研究課題に対して助成を行いました。今後は、当法人の主要事業である、(1)研究・評価の支援事業、及び(2)人材育成事業につきましては公益社団法人日本顕微鏡学会の活動の中で継承していただけることになりました。学会活動の一つとして『超微構造研究助成』の制度が継続され、IIRSの理念が引き継がれていくことを期待しております。

諸般の事情で、残念ながら、IIRSは解散することになりましたが、これまでの活動が、今後のわが国の生命科学の発展や可視化技術の普及の一助となり、次世代の若い研究者がしっかりと育成されて、世界をリードする研究環境が整備されていくことにつながりますことを切に願っております。皆様には17年の長きに亘ってご支援いただきましたことに感謝いたしますとともに、心から深く御礼申し上げます。

生命科学と可視化技術の進展、ならびに、皆さまのご活躍とご多幸を心より祈念しまして、結びのご挨拶とさせていただきます。

2022年3月
認定特定非営利活動法人 綜合画像研究支援
理事長 大隅 正子
大隅 正子